「3月11日のマーラー」2012/03/11 22:51

 音楽番組かと思ったら、ドキュメント番組でした。

 昨年のあの日に、東京はスカイビルの足元で行われた新日本フィルのコンサート。
 何千人も収容可能なホールに、お客さんは100人足らず。
 電車が止まってしまって、何時間も歩いてきた観客。走ってきた演奏者。
 この国に異様な事態が起こっている。
 それは誰もがわかっていて、家族や友人の安否が気がかりだった人も居たことでしょう。
 それでも、コンサートは開かれました。
 指揮者のダニエル・ハーティングさんはイギリス出身。人生初地震があの揺れ。
 しかし、この人はいいことを言いました。
 みんなが不安になっている。そんな時に大切なのは一人にならないこと。自分が一人だと思わないこと。コンサートを開けば、自分も、楽団員も、観客も、共にいることを感じられる。
 曲は、マーラーの交響曲第5番。重苦しい葬式から始まって、最後に明るい希望を見出す。
 異様な緊張感の中で、奇跡的な演奏が行われた(らしい。演奏自体は放送部分的にしか放送されなかった)。
 震災直後のN響の海外公演も、TVの画面越しで聞いただけで、ものすごく迫ってくるものがありました。これも、演奏者は異国にいながら日本の様子が気にならないわけがなく、観客の皆さんも報道によって全員日本の惨状を知っているだけに、尋常でない注目度の中での演奏でした。
 音楽というやつは、人間のメンタルがこんなにも純粋に表れてくるものなのか……

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://mimikaki.asablo.jp/blog/2012/03/11/6372010/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。