「ヤクザと家族 The Family」2021/02/21 12:30

ヤクザに家族を作る資格などない、という現実。
先日観た「すばらしき世界」が感動的だったのでヤクザつながりでこちらも観にいったのですが、あちらで役所広司がなんだかんだ私的に公的にお世話になることができたのは、だいぶ昔に組とは縁を切って奥さんとも離婚して心情的にはともかく実質的にまっさらでゼロからやり直しできたのが、逆に幸いしたのです。
こちらの綾野剛は同様に長期服役していても、組に籍は残したままで女ともつながりを有していたものだから、悲劇。「すばらしき」でハミダシ者を援助せずさらに締め付け疎外することは社会にとっても悪循環、と弁護士先生がおっしゃるシーンがありましたが、まさにそのまんまな展開になります。
二時間半もある長い映画ですが、始めの方、古いタイプのヤクザが落ち目になる前、主人公が親分と盃をかわす。そこまでの展開の方が熱くてスリリングで面白く思いました。舘ひろしが格好良すぎる。チンピラの襲撃受けた時に焼肉屋のオカミさんを背中にかばうヤクザの親分さん。格好良い、けど男気ありすぎてかえってファンタジー。
西川監督と同様ご自身でオリジナル脚本を書いてきた藤井道人監督。要所を抑えたストーリーだと思いますが、男性が撮る方が浪花節っていうか、浪漫主義的になるのが興味深い。