「授乳」2024/02/24 16:34

芥川賞を受賞した「コンビニ人間」で一世を風靡した村田沙耶香のデビュー作と、「コイビト」「御伽の部屋」の計三編を収めた、講談社文庫。
三つとも若い女性が主人公。表向きは大きな問題は無いような顔で、しかし内実は、人間世界から透明な膜で隔てられたように生きている。彼女たちの魂が生きているのは、自身で作り上げた仮想世界で、具体的には、家庭教師との授乳ごっこや、ぬいぐるみや、同年代の男との演技空間です。
芥川賞受賞作と、基本は同じ。あれは、主人公にもっと年齢を重ねさせ、誰もがおなじみのコンビニというシステムを仮想世界の装置として設定したのが強烈でした。
コンビニ人間よりも若いヒロインたちは、コンビニよりも頼りない世界で息をする。
時折、現実の、まっとうな感覚に脅かされながら。
彼女たちに、安住の地はあるのか。

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