モネ 睡蓮のとき ― 2025/06/07 23:58

京都市京セラ美術館は古風な建物もお庭も美しい。
ただ、岡崎公園界隈の蒸し暑さはたまらない。
人の多い土曜日で、予約優先制となっているので入場待ちになるかと思っていましたが、すんなり当日券買って入れました。ポスターでは10:00からとなっていたのに、9:30の入場。
ゴッホのそうですが、モネの描く光の風景も、絵の近くに寄って見るとなんだか良くわからない色彩の連なりにしか見えないのに、距離をおいてちょっと振り返った瞬間、それが風景だと認識できる。そして改めて近くに寄ると、やはりなんだか分からない。白内障がひどくなる晩年のバラのお庭は、赤っぽいモヤのよう。
画家の内面からあふれた光が、現実と幻想の境界を行き来する。光を浴びる花も、水面に映る影も、等しく揺らめく。
モネは同じ題材を異なる条件で描きます。対象の多様な表情を全て捕らえようとするように。描く題材の元へ赴くのでは無く、自分の庭に作るようになったのは、目の不安のためか、欧州大戦の暗さを帯びる俗世間を厭うたためか。
ショップでは、水辺に葉を揺らす柳と、ポスターにも使用されていた睡蓮のポストカードを購入。睡蓮の紙袋が可愛かったのですが、少々大きすぎてパスしてしまいました。
ただ、岡崎公園界隈の蒸し暑さはたまらない。
人の多い土曜日で、予約優先制となっているので入場待ちになるかと思っていましたが、すんなり当日券買って入れました。ポスターでは10:00からとなっていたのに、9:30の入場。
ゴッホのそうですが、モネの描く光の風景も、絵の近くに寄って見るとなんだか良くわからない色彩の連なりにしか見えないのに、距離をおいてちょっと振り返った瞬間、それが風景だと認識できる。そして改めて近くに寄ると、やはりなんだか分からない。白内障がひどくなる晩年のバラのお庭は、赤っぽいモヤのよう。
画家の内面からあふれた光が、現実と幻想の境界を行き来する。光を浴びる花も、水面に映る影も、等しく揺らめく。
モネは同じ題材を異なる条件で描きます。対象の多様な表情を全て捕らえようとするように。描く題材の元へ赴くのでは無く、自分の庭に作るようになったのは、目の不安のためか、欧州大戦の暗さを帯びる俗世間を厭うたためか。
ショップでは、水辺に葉を揺らす柳と、ポスターにも使用されていた睡蓮のポストカードを購入。睡蓮の紙袋が可愛かったのですが、少々大きすぎてパスしてしまいました。
坂東玉三郎の残月 ― 2025/06/14 23:19

雨の京都の南座に、大正時代の長崎が。長椅子の黒猫を抱き、灯籠を流し、ステンドグラスに十字架、長いキセルで阿片の夢。
竹久夢二生誕百四十周年記念、なので、夢二の水彩画、長崎十二景を下敷きにした舞踏劇がメインの公演です。
でも、台詞のない劇よりも、その前の地唄舞の方が美しく感じました。照明で月下を表す以外に、特に凝った演出があるわけでもない。箏と三絃と唄、最小限の動きで情緒を見せる舞。坂東玉三郎の残月。
今回は歌舞伎ではなかったのですが、公開中の映画「国宝」も評判が良いし、来月あたり観に行きたいです。
竹久夢二生誕百四十周年記念、なので、夢二の水彩画、長崎十二景を下敷きにした舞踏劇がメインの公演です。
でも、台詞のない劇よりも、その前の地唄舞の方が美しく感じました。照明で月下を表す以外に、特に凝った演出があるわけでもない。箏と三絃と唄、最小限の動きで情緒を見せる舞。坂東玉三郎の残月。
今回は歌舞伎ではなかったのですが、公開中の映画「国宝」も評判が良いし、来月あたり観に行きたいです。
「季節の記憶」 ― 2025/06/19 23:45
保坂和志著、中公文庫。97年に谷崎潤一郎賞、平林たい子賞受賞の、お散歩小説。
ストーリーらしい物語は無く、主人公が語るのは、幼い息子との会話、近所の兄妹達との会話、他の知人達との会話、そして彼が暮らし息子達と歩く鎌倉の、四季の風景、地形。
会話の内容も、具体的な出来事よりも、それを知覚する人間の原理を追求するような、哲学的なもの。時間とはどういうものか、言葉とは、季節感とは。
淡々と。止まること無く続く日々。
ストーリーらしい物語は無く、主人公が語るのは、幼い息子との会話、近所の兄妹達との会話、他の知人達との会話、そして彼が暮らし息子達と歩く鎌倉の、四季の風景、地形。
会話の内容も、具体的な出来事よりも、それを知覚する人間の原理を追求するような、哲学的なもの。時間とはどういうものか、言葉とは、季節感とは。
淡々と。止まること無く続く日々。
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