「楊貴妃伝」 ― 2010/06/21 00:58
井上靖の作品にはしばしば、運命的な出会い、とか運命のいたずらとか、避けられない運命、とかそういう大きな流れを物語の中に設置しているわけですが、肝心なのはそれを前にしてどう決断し、生きていくかってこと。
大唐帝国の最高権力者・玄宗が新しく召したのは、実の息子の愛妃・楊玉環だった。絶大なる権力を持つ玄宗皇帝は、玉環ばかりか、全ての人々の運命を左右する「運命」そのものだった。「運命」と対峙して、玉環の進む道は・・・・
こういうの、井上靖には多いです。運命に翻弄されながらも誇り高く生きていく美女の生き様。そういうのが作者の萌えなんでしょうねえ。
しかし、今回再読して、最後がパターンと違うのでおどろきでした。
嫉妬と猜疑心と権力欲、その果てにある暗殺。黒い逸話の尽きない後宮で生きていくため、彼女は皇帝を虜にし、楊貴妃として権力を持つ一方で、凛々しい武将(皇甫惟明)にほのかにときめいたりして。
後宮での地位を固めていく過程で彼女の力になったのが、宦官の高力士なのですが、これが、本当によく楊貴妃に尽くしていて。結構感情に囚われてあぶなかしい行動をとる貴妃に振り回されつつも、権謀術数を駆使して頑張る爺さんって、まるきり「風林火山」と同じ構図です。
しかし、安禄山の乱で都を追われたラストで、高力士は、自らの手で楊貴妃を手にかけた。玄宗皇帝のために冷静に行動した高力士。楊貴妃も実に静かにその「運命」を受け入れた。
絢爛豪華な舞台に喜怒哀楽が渦巻いた、そんな夢。しかし何かがクルリと回転して、殺伐と夢は終わったのでした。
でもあっさりしすぎて物足りない!
大唐帝国の最高権力者・玄宗が新しく召したのは、実の息子の愛妃・楊玉環だった。絶大なる権力を持つ玄宗皇帝は、玉環ばかりか、全ての人々の運命を左右する「運命」そのものだった。「運命」と対峙して、玉環の進む道は・・・・
こういうの、井上靖には多いです。運命に翻弄されながらも誇り高く生きていく美女の生き様。そういうのが作者の萌えなんでしょうねえ。
しかし、今回再読して、最後がパターンと違うのでおどろきでした。
嫉妬と猜疑心と権力欲、その果てにある暗殺。黒い逸話の尽きない後宮で生きていくため、彼女は皇帝を虜にし、楊貴妃として権力を持つ一方で、凛々しい武将(皇甫惟明)にほのかにときめいたりして。
後宮での地位を固めていく過程で彼女の力になったのが、宦官の高力士なのですが、これが、本当によく楊貴妃に尽くしていて。結構感情に囚われてあぶなかしい行動をとる貴妃に振り回されつつも、権謀術数を駆使して頑張る爺さんって、まるきり「風林火山」と同じ構図です。
しかし、安禄山の乱で都を追われたラストで、高力士は、自らの手で楊貴妃を手にかけた。玄宗皇帝のために冷静に行動した高力士。楊貴妃も実に静かにその「運命」を受け入れた。
絢爛豪華な舞台に喜怒哀楽が渦巻いた、そんな夢。しかし何かがクルリと回転して、殺伐と夢は終わったのでした。
でもあっさりしすぎて物足りない!
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