「パラサイト 半地下の家族」 ― 2020/03/01 21:40
就職先と書いて、PARASITEと読む。パルムドール受賞もなっとく。韓国映画は着眼点もストーリーも興味深いのになんかアクが強くて苦手だったけど、これは文句なしに面白い、ポン・ジュノ監督すごいや。
ドタバタ喜劇だったのに、いつのまにかホラーが始まってしまった感じだ。
お正月に観たのは貧困家庭テーマでしたが、こちらは貧富の差の描き方がエグイ。格差社会は今年も世界の主要テーマなのでしょう。
ドタバタ喜劇だったのに、いつのまにかホラーが始まってしまった感じだ。
お正月に観たのは貧困家庭テーマでしたが、こちらは貧富の差の描き方がエグイ。格差社会は今年も世界の主要テーマなのでしょう。
「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」 ― 2020/03/07 22:34
昨年は日本映画をあんまり観なくて日本アカデミー賞も「キングダム」と「天気の子」しか分からなかったくらいなのだけど。
「新聞記者」が受賞は意外でした(日本アカデミー賞は政治家には忖度しないらしい)。松坂桃李くん良かったね。
事件の舞台となったお屋敷の、怪しげなアイテムの数々が画面に映し出されるたびにワクワクしてしまう。
本格ミステリ映画。こういうのは多くの登場人物と彼らの証言を理解するだけでけっこう疲れるもので、しかしライアン・ジョンソン監督の演出と脚本の見事なこと。飽きさせることなく131分で事件解決。
いちおう名探偵が出てきますが、実質的主人公は看護師の娘。こんなに可愛くて賢くて性格善良でゲロを吐くヒロインが他にいるだろうか。南米移民の娘とお金持ち一家のお話なので話題の米アカデミー賞受賞韓国映画と同様格差テーマが内にある。ただし、立場を越えて彼女と友情を結ぶのがお屋敷の主である金持ちのじいさん(トラップ大佐だ!クリストファー・プラマーが齢90を迎えてなおカッコ良いのだ!)というのが、この作品の方向性を示している。
事件の黒幕が誰かは途中で分かってしまうし、疑問に思う所もないわけじゃないけど(殺人にはならなくても別の罪には問われるのでは?)、アガサ・クリスティ好きな人には絶対におススメな一本です。
「新聞記者」が受賞は意外でした(日本アカデミー賞は政治家には忖度しないらしい)。松坂桃李くん良かったね。
事件の舞台となったお屋敷の、怪しげなアイテムの数々が画面に映し出されるたびにワクワクしてしまう。
本格ミステリ映画。こういうのは多くの登場人物と彼らの証言を理解するだけでけっこう疲れるもので、しかしライアン・ジョンソン監督の演出と脚本の見事なこと。飽きさせることなく131分で事件解決。
いちおう名探偵が出てきますが、実質的主人公は看護師の娘。こんなに可愛くて賢くて性格善良でゲロを吐くヒロインが他にいるだろうか。南米移民の娘とお金持ち一家のお話なので話題の米アカデミー賞受賞韓国映画と同様格差テーマが内にある。ただし、立場を越えて彼女と友情を結ぶのがお屋敷の主である金持ちのじいさん(トラップ大佐だ!クリストファー・プラマーが齢90を迎えてなおカッコ良いのだ!)というのが、この作品の方向性を示している。
事件の黒幕が誰かは途中で分かってしまうし、疑問に思う所もないわけじゃないけど(殺人にはならなくても別の罪には問われるのでは?)、アガサ・クリスティ好きな人には絶対におススメな一本です。
「ゴースト ニューヨークの幻」 ― 2020/03/10 00:00
殺された男が幽霊となり、恋人を守るために奔走する。超有名作品なので観たことは無いけど基本ストーリーはなんとなく知っている。テーマ曲「アンチェインド・メロディ」も聴いたことある。でも思ったよりロマンチック・ラブストーリー度高い。サスペンス要素もあるけど、そこはコメディチックで。
夜のニューヨークの、治安悪そうな感じ。もう三十年も前の米映画なので、登場人物の服装髪型にも90年を感じる。
ヒロインのデミ・ムーアがメチャメチャ可愛い。でも面白いのは、賑やかで胡散臭くてお人好しな霊媒師のウーピー・ゴールドバーグでした。
夜のニューヨークの、治安悪そうな感じ。もう三十年も前の米映画なので、登場人物の服装髪型にも90年を感じる。
ヒロインのデミ・ムーアがメチャメチャ可愛い。でも面白いのは、賑やかで胡散臭くてお人好しな霊媒師のウーピー・ゴールドバーグでした。
「Fukushima 50」 ― 2020/03/13 00:03
正真正銘の危機。東日本壊滅の可能性。
福島第一原子力発電所は、正に戦場だった。大地震からの津波で、非常電源ストップ(地下の電源が大水でダメになるって、関空でもあったなあ)。中央制御室には窓が無いらしく、真っ暗な中でライトの明かりを頼りに作業する。防護服にテープグルグル巻いて酸素ボンベ背負って決死隊。そのさなかにも余震でグラグラするのだ。
現場の臨場感がスゴイ。状況確認するために計器類だけでも復活させようと車のバッテリー提供(たぶん、職員の自家用車の)があったり、水が無いので男子トイレが酷い状況になっていたりとか、不眠不休で疲れ切った感じとか、恐怖と絶望とか。ワケの分からぬまま自宅から避難していく大量の地元住民の皆様の様子もちゃんと描き出される。
主役を張った佐藤浩市に渡辺謙、二大俳優はさすがの存在感。他には、火野正平の安心感頼もしさが光っていました。
たった九年前のことで、結果がどうなるかも現場で殉職が出なかったことも知った上での鑑賞で、それでも緊迫した空気がヒシヒシ伝わる、実録もの映画として一級品。
ところが、残念なのが、終盤は人情ものになってしまったこと。
大きな危機に立ち向かう、「シン・ゴジラ」では主要メンバーの家族の様子とかほとんど無くて物足りないような気がしましたが、今考えると、それが正解だったのでしょう。キャラクターの個人の事情があんまり前面に出されると、緊張感が削がれる。
ただ、フクイチの場合は、最後に盛り上げる手段が他に見当たらなかったのかもしれない。原発の皆さんは頑張ってその時出来る最善を尽くしたけど、打つ手がなくなってしまう。絶望ムードの中、どういうわけかよく分かんないけど色々幸運が重なったおかげで最悪の事態を回避できました、というのが本当のところなのだ。
復興庁が協力していることだから、不穏な感じで終わらせられなかったのかもしれないけど、ギリギリの綱渡りは、実は今でも続いているのだ。
福島第一原子力発電所は、正に戦場だった。大地震からの津波で、非常電源ストップ(地下の電源が大水でダメになるって、関空でもあったなあ)。中央制御室には窓が無いらしく、真っ暗な中でライトの明かりを頼りに作業する。防護服にテープグルグル巻いて酸素ボンベ背負って決死隊。そのさなかにも余震でグラグラするのだ。
現場の臨場感がスゴイ。状況確認するために計器類だけでも復活させようと車のバッテリー提供(たぶん、職員の自家用車の)があったり、水が無いので男子トイレが酷い状況になっていたりとか、不眠不休で疲れ切った感じとか、恐怖と絶望とか。ワケの分からぬまま自宅から避難していく大量の地元住民の皆様の様子もちゃんと描き出される。
主役を張った佐藤浩市に渡辺謙、二大俳優はさすがの存在感。他には、火野正平の安心感頼もしさが光っていました。
たった九年前のことで、結果がどうなるかも現場で殉職が出なかったことも知った上での鑑賞で、それでも緊迫した空気がヒシヒシ伝わる、実録もの映画として一級品。
ところが、残念なのが、終盤は人情ものになってしまったこと。
大きな危機に立ち向かう、「シン・ゴジラ」では主要メンバーの家族の様子とかほとんど無くて物足りないような気がしましたが、今考えると、それが正解だったのでしょう。キャラクターの個人の事情があんまり前面に出されると、緊張感が削がれる。
ただ、フクイチの場合は、最後に盛り上げる手段が他に見当たらなかったのかもしれない。原発の皆さんは頑張ってその時出来る最善を尽くしたけど、打つ手がなくなってしまう。絶望ムードの中、どういうわけかよく分かんないけど色々幸運が重なったおかげで最悪の事態を回避できました、というのが本当のところなのだ。
復興庁が協力していることだから、不穏な感じで終わらせられなかったのかもしれないけど、ギリギリの綱渡りは、実は今でも続いているのだ。
「犬鳴村」 ― 2020/03/22 15:53
暖かい春のお彼岸に。
呪われた血脈のホラー。
ヒット作なだけあって、怖い。
ジャパニーズ・ホラーはあんまり観ないけど、原作小説有りのカドカワホラーよりも、東映ホラーの方が映像的な怖いイメージで畳み掛けてくるように思う。映画オリジナル脚本の強みかな。時空の歪みとか、整合性があるような無いような、関係性意味不明なところもあるんだけど、迫力とか勢いとか舞台装置の不気味さとかでぐいぐい持って行ってしまう。
清水崇監督作品はこれが初めてですが、有名な呪怨シリーズも気になってくる。
劇中のわらべ歌はこの監督による作詞だそうで、パンフレットできちんと読むと、ものすごく暗くて残酷で。
蓋をして、封じてしまえば、返って怖いものなのだ。
差別と迫害の歴史。
呪われた血脈のホラー。
ヒット作なだけあって、怖い。
ジャパニーズ・ホラーはあんまり観ないけど、原作小説有りのカドカワホラーよりも、東映ホラーの方が映像的な怖いイメージで畳み掛けてくるように思う。映画オリジナル脚本の強みかな。時空の歪みとか、整合性があるような無いような、関係性意味不明なところもあるんだけど、迫力とか勢いとか舞台装置の不気味さとかでぐいぐい持って行ってしまう。
清水崇監督作品はこれが初めてですが、有名な呪怨シリーズも気になってくる。
劇中のわらべ歌はこの監督による作詞だそうで、パンフレットできちんと読むと、ものすごく暗くて残酷で。
蓋をして、封じてしまえば、返って怖いものなのだ。
差別と迫害の歴史。
安心できないと不安なんだね ― 2020/03/26 00:49
五輪延期が決まったことで、都知事が心置きなく騒ぎ出してきた。今年は選挙もあるし、メディアにたくさん顔出したいよね。日本で一番人が多い東京都が一番感染者数多くなるのは当然のこと。人口一千人あたりの感染者数とか、メディアも厚労省ももっと状況把握の参考になるデータ示してほしい。
日本の新型コロナ検査は、明らかな症状のある人と感染者と接触のあった人を主に行われているようで、それだと死亡率がすごく高くなるのでは……と思っていたのに、それほどでもない。何か変な情報操作があるのでなければ、危険度は例年のインフルエンザ以上とは思えない。少なくとも、自分の周辺には感染者も感染者の噂も無い。
ただ、イタリアの死亡率の高さは気になる。高温多湿の東アジアより乾燥した欧州の方がウイルス繁殖しやすいのを差し引いても。危険度の高いウイルスに、変化していないだろうか。イタリアの医療設備でこのありさまなら、途上国ではではどうなるのか。……ただ、死亡者はほとんど高齢者らしいので、そう考えるとやっぱり威力は普通のウイルス風邪なんだろうか……
重症患者のほとんどが高齢者なら、学校を休校にするよりお年寄りへ引きこもり要請した方が合理的……と、思ったけど、官房長官とか財務大臣とか、七十代以上の政治家いっぱいいるな。社会の高いトコロでふんぞり返っている老人たちの自由を確保、そして無力な子供たちをおさえつけるのだ。
閑散とした外国の都市。そんなディストピア映像に比べれば日本はマシ、なのか。しかし外出禁止自粛が続くと本当にウイルス感染以外の理由で死者が出かねないし、過度なストレスで健康を損なうコトだってある。
理性的で、かつ人々の心に寄り添って。ドイツ首相の演説が評判だ。みんなの心に届き、安心と信頼を生み出す言葉が求められている。
常日頃そらぞらしいことばかり言っているこの国の政治家に、それが可能だろうか。
日本の新型コロナ検査は、明らかな症状のある人と感染者と接触のあった人を主に行われているようで、それだと死亡率がすごく高くなるのでは……と思っていたのに、それほどでもない。何か変な情報操作があるのでなければ、危険度は例年のインフルエンザ以上とは思えない。少なくとも、自分の周辺には感染者も感染者の噂も無い。
ただ、イタリアの死亡率の高さは気になる。高温多湿の東アジアより乾燥した欧州の方がウイルス繁殖しやすいのを差し引いても。危険度の高いウイルスに、変化していないだろうか。イタリアの医療設備でこのありさまなら、途上国ではではどうなるのか。……ただ、死亡者はほとんど高齢者らしいので、そう考えるとやっぱり威力は普通のウイルス風邪なんだろうか……
重症患者のほとんどが高齢者なら、学校を休校にするよりお年寄りへ引きこもり要請した方が合理的……と、思ったけど、官房長官とか財務大臣とか、七十代以上の政治家いっぱいいるな。社会の高いトコロでふんぞり返っている老人たちの自由を確保、そして無力な子供たちをおさえつけるのだ。
閑散とした外国の都市。そんなディストピア映像に比べれば日本はマシ、なのか。しかし外出禁止自粛が続くと本当にウイルス感染以外の理由で死者が出かねないし、過度なストレスで健康を損なうコトだってある。
理性的で、かつ人々の心に寄り添って。ドイツ首相の演説が評判だ。みんなの心に届き、安心と信頼を生み出す言葉が求められている。
常日頃そらぞらしいことばかり言っているこの国の政治家に、それが可能だろうか。
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