「生きる」2024/01/14 22:42

1952年、黒澤明監督のヒューマニズム映画。近年英国でリメイク版も作成された傑作。
NHKにて今年の成人の日に放送されたのですが、若き新成人たちに、どんなメッセージを送るつもりだったのでしょうか。
すでに若くもない自分は、少し陰鬱な気持ちになりました。私は生きているのだろうか、本当は死んでいるのではないか、と。
冒頭で主人公は生きていないと断言されてから、ハッピーバースデーの歌声に祝福されるまでが、長い。人生が長くないことを宣告されてから、夜遊びしてみたりストーカー紛いの振る舞いをしたり、迷走が続くのです。結局、遊ぶよりも仕事に打ち込むことによって新たな生を得るのですが、そこは彼の死後に回想で語られるという、変わった構成。
志村喬演じる、ぼそぼそしたしゃべり方の初老の男が歌う。命短し恋せよ……
この作品のもう一つの特徴が、お役所しごとの不甲斐なさです。すさまじきは宮仕え。駄目な人が集まって駄目な組織を作るのか、駄目な組織が人を駄目にするのか。
命短し。適当なことやっている暇なんて、本当はないはずなのです。

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