「エルピス-希望、あるいは災い-」2024/01/07 13:15

2023年は、ジャニー喜多川氏の非道に大きな関心が寄せられたと同時に、大きな力の前でマスメディアがいかに腰砕けだったという問題も衆知のこととなった。

その直前の2022年に放送されたTVドラマの、24年新年一挙放送。序盤は冤罪問題だったのが、大手TV局の組織構造の歪さ、報道姿勢の弱さに焦点がシフトしていく。
主人公も、一定以上名前の知られた報道キャスターから、新人ディレクターへと移る。眞栄田郷敦の、若くて無知故のがむしゃらで、できることは何でも全力で取り組もうとする意気込みが、魑魅魍魎蠢く世を照らす一本の松明となる。
後追いで対象を叩くことはできても、公式発表のないスクープを先陣切って取り上げるこのできないTV報道気質を、同じTV業界で、エンタメを担うドラマ部門から切り込む。
骨太だ。目を逸らしてはならない問題を次々とすくい上げつつ、キャラクターの配置と演出で物語としても十分な見応えがある。渡辺あやの脚本の力。
みんな、本当は、正しいことが、したいのだ。