「元彼の遺言状」 ― 2025/11/01 11:51
新川帆立著、「第19回このミステリーがすごい!」大賞受賞作。
死を目前にした元彼が奇抜な遺言状を残した、その理由は?
が気になって読み進めたのですが、会社経営関係に疎い人間にはなかなかピンとこない動機でした。各所に細かく伏線をちりばめているのですが、そんな理由かよ、と。
主人公の弁護士は金勘定にこだわる人物、ということが強調されていますが、どちらかというと、全体的に他者を見下しがちなスタンスが気になりました。気が強くて有能で、愛嬌に欠くリナ=インバー-スって感じ。
こういう強い系主人公には、ワトソン的相棒がセットでないとなかなかお話としての躍動感が出ないなあ。
死を目前にした元彼が奇抜な遺言状を残した、その理由は?
が気になって読み進めたのですが、会社経営関係に疎い人間にはなかなかピンとこない動機でした。各所に細かく伏線をちりばめているのですが、そんな理由かよ、と。
主人公の弁護士は金勘定にこだわる人物、ということが強調されていますが、どちらかというと、全体的に他者を見下しがちなスタンスが気になりました。気が強くて有能で、愛嬌に欠くリナ=インバー-スって感じ。
こういう強い系主人公には、ワトソン的相棒がセットでないとなかなかお話としての躍動感が出ないなあ。
「ベーコン」 ― 2025/11/08 23:15
豊国神社のライトアップショーを観に行く。ああいうのは、正面真ん前で鑑賞しないと面白さは伝わりにくいのではなかろうか。最後の踊りは舞台が低くて後ろからは全く見えず。あと、上に掲げるスマホも邪魔で。もう少し待てば最前列近くまで寄れたと思うけど、帰っちゃった。
人の世は、形あるものと形の無いもの、二種類でできている。しかしながら、実際は、形あるものに形無いものが投影されたり、形の無いものを受け止めるために何らかの形を要したりする。
私は、両者をわりとキッパリ切り離して考えがちなのが、良くないのかなあ。
2009年6月刊、集英社文庫。井上荒野の短編集は、十編すべて食べ物が題名になっている。食べ物に、男と女(ときおり、その子供)の微妙な不安や連帯が被せられる。
表題作の「ベーコン」では、主人公の女性が四歳の時に家を出た母親と、その恋人である男の育てた豚に、主人公が彼らに対する意識、特別な思いが繋がれている。
人の手によって差し出された食べ物が、人の中に呑み込まれる。元々の形は失われても、別の形の無いものが生み出される。
形の無いものの描き出す手法が、絶妙。
人の世は、形あるものと形の無いもの、二種類でできている。しかしながら、実際は、形あるものに形無いものが投影されたり、形の無いものを受け止めるために何らかの形を要したりする。
私は、両者をわりとキッパリ切り離して考えがちなのが、良くないのかなあ。
2009年6月刊、集英社文庫。井上荒野の短編集は、十編すべて食べ物が題名になっている。食べ物に、男と女(ときおり、その子供)の微妙な不安や連帯が被せられる。
表題作の「ベーコン」では、主人公の女性が四歳の時に家を出た母親と、その恋人である男の育てた豚に、主人公が彼らに対する意識、特別な思いが繋がれている。
人の手によって差し出された食べ物が、人の中に呑み込まれる。元々の形は失われても、別の形の無いものが生み出される。
形の無いものの描き出す手法が、絶妙。
民藝誕生100年 京都が紡いだ日常の美 ― 2025/11/23 22:45
Everyday Life
美術史にも仏教史にも無名の僧侶が修行(ライフワーク?)で作成した木製仏像。その柔らかく優しい佇まいに魅了されたことが出発点となった、新たな美の価値感。人がそれぞれの生活の中で生み出し受け継がれてきた民衆的工芸品の、素朴な美しさ。
過度に芸術ぶらないけいど、素材やデザインの素敵な物に囲まれて生活していくって、いいなあ。
その価値観の中に、棟方志功の作品が含まれているのは意外というか、本筋からは離れている気はします。柳宗悦のお弟子さんだったそうですが、棟方作品はもの凄く作家の個性が強くエネルギッシュなので。ただ、木喰仏の根源的な生命力に通じるものは感じます。
美術史にも仏教史にも無名の僧侶が修行(ライフワーク?)で作成した木製仏像。その柔らかく優しい佇まいに魅了されたことが出発点となった、新たな美の価値感。人がそれぞれの生活の中で生み出し受け継がれてきた民衆的工芸品の、素朴な美しさ。
過度に芸術ぶらないけいど、素材やデザインの素敵な物に囲まれて生活していくって、いいなあ。
その価値観の中に、棟方志功の作品が含まれているのは意外というか、本筋からは離れている気はします。柳宗悦のお弟子さんだったそうですが、棟方作品はもの凄く作家の個性が強くエネルギッシュなので。ただ、木喰仏の根源的な生命力に通じるものは感じます。
「小泉八雲集」 ― 2025/11/30 14:03
上田和夫訳、新潮文庫。秋からの朝ドラは視聴していませんが、本書の解説文にあるラフカディオ・ハーンの生い立ちを読むと、観とけば良かったかな、と思いました。混血、異邦人、親族との縁の薄さは、孤独と同時に広い包括性をもたらす。
ある意味自由に、自分の性に合う物を求めていった。
元々は日本人に向けて書かれたのではなく、外国人に日本を紹介する意図で英語で書かれたのですね。小泉八雲の数ある著作から、数編ずつ抜き出し、前半は日本昔話・説話で、懐かしいお話も多数。八雲から観た牡丹灯籠(「悪因年」)が興味深い。
後半は、八雲による日本人観を述べるエッセイ。彼から観た日本人は、己を律して他者を気遣い、それでいて命がけで己の誇りと真を貫く強い民族。特に、厳しく躾けられた武士階級に敬意を抱くが、それは明治時代には失われつつあった。
八雲にとって、日本とその精神は、世界に刻み込まれる永遠に続く、生き物の魂を強く意識できる文化だったのですが。今の日本は、どうなのだろう。
ある意味自由に、自分の性に合う物を求めていった。
元々は日本人に向けて書かれたのではなく、外国人に日本を紹介する意図で英語で書かれたのですね。小泉八雲の数ある著作から、数編ずつ抜き出し、前半は日本昔話・説話で、懐かしいお話も多数。八雲から観た牡丹灯籠(「悪因年」)が興味深い。
後半は、八雲による日本人観を述べるエッセイ。彼から観た日本人は、己を律して他者を気遣い、それでいて命がけで己の誇りと真を貫く強い民族。特に、厳しく躾けられた武士階級に敬意を抱くが、それは明治時代には失われつつあった。
八雲にとって、日本とその精神は、世界に刻み込まれる永遠に続く、生き物の魂を強く意識できる文化だったのですが。今の日本は、どうなのだろう。
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