「死はすぐそばに」 ― 2026/03/08 22:07
CLOSE TO DEATH
2024年刊行の<ホーソーン&ホロヴィッツ>シリーズ最新作ですが、作品内時代は2019年と2014年。この二人がコンビを組む以前にホーソーンが解決した(?)殺人事件を追いつつ、彼とその周辺人物や組織に迫っていきます。
なんとなく、ホロヴィッツが事件でヘマをしたり酷い目に遭ったりしていないと、物足りない感じがしてしまう……
本書の結末、ホーソーンが望まぬ真実を暴いた小説を発表することになってしまって、今後この二人が物語の続きをどう展開していくのだろうか。
5年前の事件は、閉ざされた住宅地でのご近所トラブルに続いての殺人事件発生。周到な企みを解きほぐしていく。
2024年刊行の<ホーソーン&ホロヴィッツ>シリーズ最新作ですが、作品内時代は2019年と2014年。この二人がコンビを組む以前にホーソーンが解決した(?)殺人事件を追いつつ、彼とその周辺人物や組織に迫っていきます。
なんとなく、ホロヴィッツが事件でヘマをしたり酷い目に遭ったりしていないと、物足りない感じがしてしまう……
本書の結末、ホーソーンが望まぬ真実を暴いた小説を発表することになってしまって、今後この二人が物語の続きをどう展開していくのだろうか。
5年前の事件は、閉ざされた住宅地でのご近所トラブルに続いての殺人事件発生。周到な企みを解きほぐしていく。
「ミス・マープルと13の謎」 ― 2026/02/21 23:19
Miss Marple and the Thirteen Problems
ミス・マープルはさだめしセント・メアリ・ミードの村で、これによく似たケースがあったのをご存じなんだ
元警視総監にも犯罪者の巣窟と認められた、英国の田舎の村。そこで人間観察を続けてきた老嬢が安楽椅子探偵として謎を解く。
1953年刊の短編集を、2019年新訳(深町眞理子)の創元推理文庫で。確かに読んだことあるはずなのにほとんど覚えていませんでした。
彼女の推理は、「人間なんてみんな、こんなものなんだから」とタイプ分類して事件の構造に見当を付けるやり方です。どういう道筋でその推理が導き出されたのか、はっきり明かされないお話もあります。
金塊の話は、大がかりな小細工が必要な犯罪だったのか良くわかりませんでした。
バンガローの話は、最後の方の台詞の中で「ネッタ」と「あの女」が混同されていたんじゃないかと、何回かその部分を読み返しました。
前に読んだポアロの短編集でも思いましたが、変装・別人なりすましネタがちょいちょい使われるのが、この時代って感じ。
ミス・マープルはさだめしセント・メアリ・ミードの村で、これによく似たケースがあったのをご存じなんだ
元警視総監にも犯罪者の巣窟と認められた、英国の田舎の村。そこで人間観察を続けてきた老嬢が安楽椅子探偵として謎を解く。
1953年刊の短編集を、2019年新訳(深町眞理子)の創元推理文庫で。確かに読んだことあるはずなのにほとんど覚えていませんでした。
彼女の推理は、「人間なんてみんな、こんなものなんだから」とタイプ分類して事件の構造に見当を付けるやり方です。どういう道筋でその推理が導き出されたのか、はっきり明かされないお話もあります。
金塊の話は、大がかりな小細工が必要な犯罪だったのか良くわかりませんでした。
バンガローの話は、最後の方の台詞の中で「ネッタ」と「あの女」が混同されていたんじゃないかと、何回かその部分を読み返しました。
前に読んだポアロの短編集でも思いましたが、変装・別人なりすましネタがちょいちょい使われるのが、この時代って感じ。
「ポアロ登場」 ― 2026/02/05 15:24
Poirot Investigates
ポワロ、じゃなくてポ「ア」ロ、と表記。フランス語の発音は良くわからない。しかし、彼の一人称は「ぼく」より「わたし」のイメージで。年下の相棒に対しては「ぼく」?。
早川書房の2004年新訳・クリスティー文庫。灰色の脳細胞を働かせる自信満々ヒゲ探偵の話は昔だいぶ読みましたが、これは今回初めて。文庫本一冊に14編も詰め込んで、だいぶ短い印象、クリスティー特有の人物描写を発揮するには物足りないかなあ。事件の核心に変装を用いる話が多いのは、写真や情報伝達技術の乏しい時代(1923年発表)を感じます。
それでも、ホームズの恐喝王の話っぽいと思った「ヴェールをかけた女」なんか、さらに一ひねりを加えられいて凝っています。他に、初出では第一作目の短編となる、「グランドメトロポリタンの宝石盗難事件」や、ベルギーにいた頃の「チョコレートの箱」が印象的でした。
この探偵は、スタイルズ荘事件後にヘイスティングズとは同居していたらしく、ほとんど全部ヘイスティングズの記述によるお話で、元警察官ベルギー人の尊大さに反発したり、おちょくられたりと、愛すべき道化ぶり。
最近読んでいる<ホーソーン&ホロヴィッツ>シリーズはホームズ物を意識しているのかと思っていたのに、ポアロ物の方が近そうです。
ポワロ、じゃなくてポ「ア」ロ、と表記。フランス語の発音は良くわからない。しかし、彼の一人称は「ぼく」より「わたし」のイメージで。年下の相棒に対しては「ぼく」?。
早川書房の2004年新訳・クリスティー文庫。灰色の脳細胞を働かせる自信満々ヒゲ探偵の話は昔だいぶ読みましたが、これは今回初めて。文庫本一冊に14編も詰め込んで、だいぶ短い印象、クリスティー特有の人物描写を発揮するには物足りないかなあ。事件の核心に変装を用いる話が多いのは、写真や情報伝達技術の乏しい時代(1923年発表)を感じます。
それでも、ホームズの恐喝王の話っぽいと思った「ヴェールをかけた女」なんか、さらに一ひねりを加えられいて凝っています。他に、初出では第一作目の短編となる、「グランドメトロポリタンの宝石盗難事件」や、ベルギーにいた頃の「チョコレートの箱」が印象的でした。
この探偵は、スタイルズ荘事件後にヘイスティングズとは同居していたらしく、ほとんど全部ヘイスティングズの記述によるお話で、元警察官ベルギー人の尊大さに反発したり、おちょくられたりと、愛すべき道化ぶり。
最近読んでいる<ホーソーン&ホロヴィッツ>シリーズはホームズ物を意識しているのかと思っていたのに、ポアロ物の方が近そうです。
「その裁きは死」 ― 2026/01/24 16:36
THE SENTENCE IS DEATH
「ホーソーン&ホロヴィッツ」シリーズの第二弾、雨の多い、英国の秋。前作で、2011年ごろかな?と思っていましたが、今作は2013年と明記されていました(作品の刊行は2018年、日本語訳は2020年)。
今回もまた、語り手のアンソニー・ホロヴィッツは盛大に道化を演じ、濡れ衣を着せられたり盗撮被害に遭ったり数々の災難にきりきり舞いです。
離婚専門弁護士という、いかにも他者から恨みを買いそうな人物が、ワインボトルで殴り殺される事件。登場人物に、リチャードさんと、リチャードスンさんがいて、ちょっと混乱して何度か登場人物紹介を見直しました。
事件関係者は全員怪しげな行動を取り、それらには最終的に解答が示され、事件は解決します。しかし、鮮やかに謎解きをするホーソーン自身については、新たな関係者が現れ情報を提示される度、謎は深まります。
仲良く喧嘩する、この二人は、どうなって行くのでしょうか。
「ホーソーン&ホロヴィッツ」シリーズの第二弾、雨の多い、英国の秋。前作で、2011年ごろかな?と思っていましたが、今作は2013年と明記されていました(作品の刊行は2018年、日本語訳は2020年)。
今回もまた、語り手のアンソニー・ホロヴィッツは盛大に道化を演じ、濡れ衣を着せられたり盗撮被害に遭ったり数々の災難にきりきり舞いです。
離婚専門弁護士という、いかにも他者から恨みを買いそうな人物が、ワインボトルで殴り殺される事件。登場人物に、リチャードさんと、リチャードスンさんがいて、ちょっと混乱して何度か登場人物紹介を見直しました。
事件関係者は全員怪しげな行動を取り、それらには最終的に解答が示され、事件は解決します。しかし、鮮やかに謎解きをするホーソーン自身については、新たな関係者が現れ情報を提示される度、謎は深まります。
仲良く喧嘩する、この二人は、どうなって行くのでしょうか。
劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ ― 2026/01/12 22:43
正月休みに録画していた、19年公開劇場版シティーハンターを観て、震えるほど懐かしさがこみ上げる。TVシリーズの主題歌が随所に流されていましたし。
主演の神谷明さんは年齢的にもうヒーロー然とした台詞は厳しいのでは無いかと思っていましたが、それでもやっぱり格好良い。お馴染みの、あり得ない感じの戦闘シーンはちゃんと派手で面白い。すごいや。
XYZは、時代劇シリーズみたいに一種の様式として、長く受け継がれていってもらいたいものです。
主演の神谷明さんは年齢的にもうヒーロー然とした台詞は厳しいのでは無いかと思っていましたが、それでもやっぱり格好良い。お馴染みの、あり得ない感じの戦闘シーンはちゃんと派手で面白い。すごいや。
XYZは、時代劇シリーズみたいに一種の様式として、長く受け継がれていってもらいたいものです。
「メインテーマは殺人」 ― 2026/01/04 22:56
THE WORD IS MURDER
著者・アンソニー・ホロヴィッツ自身が事件捜査に関わり、物語の語り手となる形式。
コンビを組む探偵役のホーソーンは、頭が切れて自信家で口が悪く、他者に対して友好的でも良識的とも言い難い。描き方によってはひどく好感度の低い主人公となりそうなのを、語り手が翻弄されたり困惑したり苦情を述べたりする様子が結構コミカルなので、ちゃんとバランスがとれてしまう。
相棒は、相性ぴったりなのが良いとは限らない。意見も好みも食い違って反発しあう位の方が面白いこともあります。
老婦人が殺害されたのは、彼女が自らの葬儀の手配をしたその日の晩であった。
事件自体は、ミスリードの種をちりばめて誰も彼もが怪しく見えてしまうパターン。
舞台は英国、時代はたぶん2011年頃、語り手以外にも実在の人物がちょっとだけ登場。
癖の強い元刑事の人物像はまだ明らかにされていないことも多く、<ホーソーン&ホロヴィッツ>シリーズ、10冊ほど続く予定らしいし、続きも読んでいきたい。
著者・アンソニー・ホロヴィッツ自身が事件捜査に関わり、物語の語り手となる形式。
コンビを組む探偵役のホーソーンは、頭が切れて自信家で口が悪く、他者に対して友好的でも良識的とも言い難い。描き方によってはひどく好感度の低い主人公となりそうなのを、語り手が翻弄されたり困惑したり苦情を述べたりする様子が結構コミカルなので、ちゃんとバランスがとれてしまう。
相棒は、相性ぴったりなのが良いとは限らない。意見も好みも食い違って反発しあう位の方が面白いこともあります。
老婦人が殺害されたのは、彼女が自らの葬儀の手配をしたその日の晩であった。
事件自体は、ミスリードの種をちりばめて誰も彼もが怪しく見えてしまうパターン。
舞台は英国、時代はたぶん2011年頃、語り手以外にも実在の人物がちょっとだけ登場。
癖の強い元刑事の人物像はまだ明らかにされていないことも多く、<ホーソーン&ホロヴィッツ>シリーズ、10冊ほど続く予定らしいし、続きも読んでいきたい。
「爆弾」 ― 2026/01/03 15:56
爆弾で街も人も吹き飛ばす映画。
と、思っていたら、人々の精神面もドカンと破壊する。
自称「スズキタゴサク」が出すナゾナゾ(?)を解いて、仕掛けられた爆弾を捜索する。取調室と捜索現場を舞台に、テンポ良く話が進みます。
役者さんもみんな達者です。取り調べ刑事が主人公のなのですが。人の心理の裏をつついてくる、スズキを演じる佐藤二朗の怪演がインパクト強すぎ。
と、思っていたら、人々の精神面もドカンと破壊する。
自称「スズキタゴサク」が出すナゾナゾ(?)を解いて、仕掛けられた爆弾を捜索する。取調室と捜索現場を舞台に、テンポ良く話が進みます。
役者さんもみんな達者です。取り調べ刑事が主人公のなのですが。人の心理の裏をつついてくる、スズキを演じる佐藤二朗の怪演がインパクト強すぎ。
「ナイトフラワー」 ― 2025/12/31 22:25
内田英治監督のオリジナル脚本は、結構ツッコミどころもあるのですが。ボスが末端の売人に素顔や拠点を簡単に見せちゃうとか。犯罪実録的なリアリズムを求める作品ではありません。昼間の厳しさに根を張った、夜に咲く幻想。
大切なモノを持ち続けるのは、辛く、厳しく、熱く、美しい。
一人は子育てのために。一人は格闘技を頑張るために。
二人の女が手を組んで、薬を売り歩く。
もう、明るい結末になりようがないストーリーですが、彼女たちは暗い泥沼を共に戦い、楽園を目指します。
思ったより力の入った総合格闘技の試合、そしてヴァイオリン演奏が印象的。
大切なモノを持ち続けるのは、辛く、厳しく、熱く、美しい。
一人は子育てのために。一人は格闘技を頑張るために。
二人の女が手を組んで、薬を売り歩く。
もう、明るい結末になりようがないストーリーですが、彼女たちは暗い泥沼を共に戦い、楽園を目指します。
思ったより力の入った総合格闘技の試合、そしてヴァイオリン演奏が印象的。
「小泉八雲集」 ― 2025/11/30 14:03
上田和夫訳、新潮文庫。秋からの朝ドラは視聴していませんが、本書の解説文にあるラフカディオ・ハーンの生い立ちを読むと、観とけば良かったかな、と思いました。混血、異邦人、親族との縁の薄さは、孤独と同時に広い包括性をもたらす。
ある意味自由に、自分の性に合う物を求めていった。
元々は日本人に向けて書かれたのではなく、外国人に日本を紹介する意図で英語で書かれたのですね。小泉八雲の数ある著作から、数編ずつ抜き出し、前半は日本昔話・説話で、懐かしいお話も多数。八雲から観た牡丹灯籠(「悪因年」)が興味深い。
後半は、八雲による日本人観を述べるエッセイ。彼から観た日本人は、己を律して他者を気遣い、それでいて命がけで己の誇りと真を貫く強い民族。特に、厳しく躾けられた武士階級に敬意を抱くが、それは明治時代には失われつつあった。
八雲にとって、日本とその精神は、世界に刻み込まれる永遠に続く、生き物の魂を強く意識できる文化だったのですが。今の日本は、どうなのだろう。
ある意味自由に、自分の性に合う物を求めていった。
元々は日本人に向けて書かれたのではなく、外国人に日本を紹介する意図で英語で書かれたのですね。小泉八雲の数ある著作から、数編ずつ抜き出し、前半は日本昔話・説話で、懐かしいお話も多数。八雲から観た牡丹灯籠(「悪因年」)が興味深い。
後半は、八雲による日本人観を述べるエッセイ。彼から観た日本人は、己を律して他者を気遣い、それでいて命がけで己の誇りと真を貫く強い民族。特に、厳しく躾けられた武士階級に敬意を抱くが、それは明治時代には失われつつあった。
八雲にとって、日本とその精神は、世界に刻み込まれる永遠に続く、生き物の魂を強く意識できる文化だったのですが。今の日本は、どうなのだろう。
民藝誕生100年 京都が紡いだ日常の美 ― 2025/11/23 22:45
Everyday Life
美術史にも仏教史にも無名の僧侶が修行(ライフワーク?)で作成した木製仏像。その柔らかく優しい佇まいに魅了されたことが出発点となった、新たな美の価値感。人がそれぞれの生活の中で生み出し受け継がれてきた民衆的工芸品の、素朴な美しさ。
過度に芸術ぶらないけいど、素材やデザインの素敵な物に囲まれて生活していくって、いいなあ。
その価値観の中に、棟方志功の作品が含まれているのは意外というか、本筋からは離れている気はします。柳宗悦のお弟子さんだったそうですが、棟方作品はもの凄く作家の個性が強くエネルギッシュなので。ただ、木喰仏の根源的な生命力に通じるものは感じます。
美術史にも仏教史にも無名の僧侶が修行(ライフワーク?)で作成した木製仏像。その柔らかく優しい佇まいに魅了されたことが出発点となった、新たな美の価値感。人がそれぞれの生活の中で生み出し受け継がれてきた民衆的工芸品の、素朴な美しさ。
過度に芸術ぶらないけいど、素材やデザインの素敵な物に囲まれて生活していくって、いいなあ。
その価値観の中に、棟方志功の作品が含まれているのは意外というか、本筋からは離れている気はします。柳宗悦のお弟子さんだったそうですが、棟方作品はもの凄く作家の個性が強くエネルギッシュなので。ただ、木喰仏の根源的な生命力に通じるものは感じます。
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