「夢の雫、黄金の鳥籠」2012/07/08 13:27

 学べ。
 学門と教養を身につけて自分と世の中を判断できる目を養え。

 時は16世紀。小さな村で育ち、広い世界を自由に飛んで行ける鳥に憧れる少女。そんなヒロインが、賊にさらわれて売り飛ばされ、しまいにはオスマン皇帝の後宮へ入ることになってしまう。
 篠原千絵のイスラム版・大奥漫画。前に書かれていた古代オリエント漫画と違ってファンタジー要素はないので、ヒロインが八面六臂な活躍をするってことはないです。
それどころか、陰謀渦巻く後宮からは逃げられない、籠の鳥状態。自分を教育してくれたオスマンの高官を慕うも、その男こそが自分を皇帝に献上した張本人なのだから、ツライ所です。
皇帝の寵を得て、少しずつ後宮内で力をつけていくものの、自分がどう生きていくべきか見えず、しばしば物憂げな表情を見せる。そこがなんか、リアルなんですね。
彼女の望む自由は、どこにあるのか。
ある登場人物が、良いことを言っています。
自由とは、心のありようだ、と。身を立てることが肝心なのだと。
ヒロインはどのようにして、自分の道を進むための力を得ていくのか……
ってあたりがテーマなんでしょうが。
それとは別に。すでに、大きな力を持った皇帝・スレイマンが欧州遠征を開始します。そのうちウイーン包囲とかもやってくれたら嬉しいなー。
まだ二十代半ばの若き皇帝が、さらに力をつけていく。
歴史が、動いていく。

おおふり192012/06/24 23:14

 長かった「ハルナ編」がようやく決着した、おおふり最新刊。19巻で、いまだに高校一年の八月前半です。このペースで行くと高3の夏までいったいどれだけかかるのでしょうか。
 投手二人からナメられまくってる(たぶん悪気はない)けど、全然意に介さぬ三橋。
 準さんが立ち直ってくれて、でも「ワルイ人」って言われちゃってたり。
 利央君と田島君の体格差にびっくりしたり(並ぶと大人と子供みたい)。
 逆ナン(?)で練習試合の約束取り付けるモモカン。
 半日の甲子園観戦中にもモノを食べまくる男子高校生たちの食欲……
 そんな彼らの間でも、そのうち本格的にレギュラー争いが起こる予感。
 等々、色々楽しめました。
 今後も、長く続けて(そしてなるべく早く新刊出して)くれれば、嬉しいです。

おおふり17巻2011/10/03 13:37

「負けて礼言われるってどーよ」
「……屈辱」

 新刊は先月には出てたんですが、読んでみたら春日部戦のそれまでの展開が全然思い出せなくて、中断。16巻を引っ張り出して、改めて。
 スクイズに、本塁打に、延長に、投手交代の難しさに。
 ほんと、「普通の高校野球」なナイスゲームなんですが。
 ただ一人、榛名だけは、いかにも「高校野球漫画の主人公」って感じの格好良さ、頼もしさ。ぶつけて怪我させることは恐れても、自分の球を打たれることはコレッポッチも考えにない投手……
 そんな、清清しいまでに強気な榛名とは対照的に、元・バッテリー組んでた阿部君の屈折してること。イチイチ発想が小さい。阿部君がそんなだから、三橋くんもイロイロ気にしてしまうんじゃないか。
 けっこう前に三橋が、「阿部君は榛名さんに、自分にとってのエースでいて欲しかった」てなことを考えていましたが、全く、そのとおりなんだろうなあ。
 彼のこういう感じはまだしばらく続くでしょうが。
 次巻、ちゃんと十一月に出てくれるかな!

 台詞とか構図とか心理描写とかが相変わらずツボなおおふりですが、今回一番トキメイたのが、オマケページでピアノ弾いてる花井君と意外と骨太な字を書く沖君でした。

「おおきく振りかぶって16」2011/04/06 17:46

 センバツで、履正社選手達が手をつないで輪になっている映像が映し出される。
 おおふり式瞑想、なのかしら。

「あいかわらずイーツラしてる。それが負けてるヤツのカオか」
 なんて言われてる榛名が表紙だと思っていたのですが、16巻は双子バッテリーでした。
 センバツ開幕と同時に発売されていたのですが、閉幕まで読むのお預けにしていたおおふり新刊。朝の電車の中で読んでいたら、やっぱり、元気が出てきます。
 榛名がすんごい頼もしいキャラになってました。阿部君の中学時代の回想とは別人のようです。カッコいいなあ。
 それと、千代ちゃんが本当に可愛くっていいコで、はっきり言って阿部にはもったいない。阿部君よりも三橋の方がよほど気遣い屋さんなのだなあ、不器用だけだど。
 いろんな意味で、彼らの成長が楽しみだなあ。頑張って、秋にはいい成績残してもらいたいものです。
 今年のセンバツには、創部一年で甲子園に来ちゃったチームもあったことですし。
 秋の成果しだいでは、21世紀枠の候補だって狙えると思うんですよ、西浦高校。それで、甲子園で強豪相手にボロクソに負けて帰ってくれれば、言うことないです。

「魔法使いの娘ニ非ズ」2011/03/22 22:23

「こんなはずじゃなかったけど。でも、これが私」
 五話収録していますが、各話にサブタイトルがついているのにちょっとびっくりした、「魔法使いの娘」の続編。
 前と比べてホラー色は強くなり、コメディ色は薄くなった。初音ちゃんがパパに振り回されてってパターンがなくなったからなあ。彼女のブチ切れるところが好きだったのに。
 相変わらす那州雪絵は人間を描くのが上手いなあ、と思うけど、いずれの話も事件のゲストさん達の方がメインになっていて、初音ちゃんたちは裏方担当。
 まあ、いずれは初音ちゃんの抱える問題にも焦点が行くでしょうから、ぼやくばっかりじゃなくて、ウジウジモヤモヤしたモノを景気よく怒鳴り散らしてもらいたいもんです。

俺ティー10巻2011/03/20 22:46

 電車の中で、カバーをかけずに漫画の単行本広げるのは平気です。
 駅前の本屋で「俺ティー」の最新刊を購入して行く。学園コメディ、登場人物全員ユカイでアホな話で頭空っぽにして笑えるから好き。
 10巻は表紙も中身も主人公とは敵対してる(はずの)生徒会がメインだ!。北条さんの足がとてもステキでした。あのくらいのスカート丈が良い。そして登場する毎に確実に好感度の上がっていく生徒会長。
 オマケ四コマに、東西南北シリーズが無かったのがちょっと残念。

「屍鬼」2011/01/14 23:42

 うちに閉じこもりっぱなしじゃアレですね。本屋うろつくの楽しいです。
「ゴーストハント」の新装版は、表紙がゴチャゴチャしてんのが気に入らなくて買う気にならない。読みたいんだけど、久しぶりに。

 TVアニメ放送が終ってしまいましたよ、「屍鬼」。
 原作小説読んでて先の展開は分かっていても、十分楽しめました。深夜アニメはこうでなければ。吸血鬼モノ、血を吸った相手を操れるって設定で、ちょっと某死神ノート思い出したりして。
 小説の方は、最初の方が村の日常を描くばっかりでなかなか話が進まないのですが(そこを乗り越えればもう、怒涛の勢いなんですが)、日常描写の退屈なあたりかなりばっさり抑えて構成し直してくれていました。
 実際これ、構成が難しいと思うのですよ。昔、実写映画になるって噂がありましたけど結局立ち消えになりましたし。主な主人公だけでも少年、医者、坊さんの三人で、他にも登場人物たくさんいてそれぞれにドラマがあって。
 その辺を丁寧に、でも退屈にはならないように再構築したフジリューに拍手です。独特の髪型やらファッションやらに賛否両論はあるでしょうが、漫画にデフォルメはつきものなので私は気にならないや。むしろ、あの絵でフジリューワールドを創りつつ、原作の持つ怖さ悲しさを損なわず表現できるところがすごい。幼稚園児の持つ文楽人形の不気味さはフジリューならでは。
 じわじわと人間を狩る屍鬼の恐怖と
 いっきに屍鬼を狩る人間の狂気と
 ビジュアルや構成だけでなくストーリーにも変更は加えられていましたが、登場人物の心情、性格設定は原作に忠実なので、すんなり受け入れられるのです。
 アニメも、限られた尺の中で削られたエピソードも多々ありましたが、頑張ってくれたと思います。終盤はちょっと心配してたんですよね、アニメ版ゴーストハントはもう、駆け足すぎだったから。

「劇場版BLEACH 地獄変」2010/12/21 11:16

 叫びだしたら止まらないのでがんばって自制しますが、もう七年くらい前からルキアちゃんファンです。なんであんなに可愛いのでしょう。
 主人公のほうは、少年漫画のヒーローとしては申し分ないパワーアップを果たしているけど、もうちょっと人間として、男として成長してもらいたいもんです。まあ、(なんか世界を背負うようなバトルやってるけど)高校生の男の子なんてあんな感じなのかもしれませんが。
 でも、アツ苦しく叫んだり、戦闘したり、各種シーンの構図の格好良さにダマされるんですよ。

 と、いうわけで、しばらく前に観た、少年漫画の劇場版。
 一番の見所はオープニング。クライマックスシーンより迫力あり、最初からテンション上がります。主人公、人間の形してないのに格好いいってスゴイ。
 ストーリーは「ダマされた!」って感じで。お話よりも、劇場版ポスターや何やらで騙される。凝ってる、というより遠まわしすぎてクドイやり方はもうお馴染みです。
 シスコンのお話でもあります。私は妹萌えってよく分かりませんが「今日の晩御飯何がいい?お父さんいないからお兄ちゃんの好きなもの作るよ」なんて言ってくれる妹がいたら、血相変えて「俺が護る!」ってなるのも納得できます。
 妹を助けに地獄へ飛び込む兄と。
 妹を護れずに地獄に堕ちた兄。
「だから俺は、全ての奴らに俺と同じ思いを味わわせてやることにしたんだ」
 いますよねー、自分の抱えた怒りややり切れなさを他人にぶつける困った人。根底にあるものが「狂気」による悪意っていうのが、なんか「地獄」っぽいです。
 あともう一人、ルキアちゃんのお兄ちゃんがいますが、この人は流石ですね。登場シーンは短いのにバッチリ目立っちゃう、オイシイ人です。
 劇場版第三弾で、ラストのコンで泣いたとのクレームがきててんやわんやになった(笑)ために今回はぬいぐるみのコンは出番なしになったそうですが、彼は登場しては踏まれたり破かれたりヒドイ目に合うのがお約束なのに。「地獄変」小説版ではちゃんとコンがぞんざいな扱いを受けていて良かったです。

「ゴーストハント」完結!2010/10/05 16:57

 昨夜は飲みに行く約束が流れてしまい、空いた時間にフラフラ本屋に寄って、漫画の新刊見つけてきました。
 とうとう完結だ、ゴーストハント。12年掛けて単行本12巻かあ。12年の間に、掲載雑誌が変わったり書き下ろし新刊になったり。
 登場人物の、ていうか主役のナルの顔がけっこう変化しているのですが、「サイレントクリスマス」あたりの書き方が一番好みです。ジーンは初登場時のすごいキラキラっぷりが最も印象的。麻衣ちゃんはショートヘアの方が好きだなあ。
 一番怖い話は「血塗られた迷宮」、ちょっと感動的だったのが「忘れられた子どもたち」、好きだったのがやっぱり、ぼーさんが安原君や麻衣ちゃんたちと仲良く掛け合いやっているシーンですねえ(こんな兄貴が欲しいなあ、と高校時代に思ったものですが、今では私の方が年上だ)。
 オカルトものなので他の巻は色彩の暗い表紙なのですが、最終巻は青空がバック。事件が終った後の謎解き編というか、これまでの長大な伏線回収編です。三分の一くらいがぼーさん喋りまくりの推理ショーでした。
 そして成り行きで麻衣ちゃんが告白することになり、しかし相手は「実は人違いでした!」という真実が発覚し、結果としてナルがフラれた形になっちゃうという(ナルちゃん不本意だったろうなあ)少女マンガとしては異例の展開です。まあ、ゴーストハントだから。
 最終巻の帯を見て初めて知ったのですが、コミック完結に合わせて来月から、ながらく絶版だった原作小説「悪霊シリーズ」が全編リライトで出るという。1260円って、けっこうお値段しますが書き下ろしが収録されてあったら全7巻買ってしまいそうです。
 商売上手だなあ、出版社。

「親指からロマンス」2010/07/22 01:50

 椿いづみブログで色々書いてあったので、古本屋で立ち読みした少女マンガ。
 マッサージするの大好きなヒロインと、背中超凝ってる色男の話。
 なんですが、主人公たちがイチャイチャやっているのよりも、その周囲のサブキャラクターをメインにしたエピソードの方が断然わたしの好みだったりします。設定作るの好きなんでしょう、作者のキャラに対する愛が感じられます。
 ですから、あれやこれやのエピソードの決着が付かないまま終ってしまったのが非常に残念です。主人公サイドは(もう今更何言ってんの?てな感じでしたが)きちんと納めてあったのですが、その他の色々で伏線が消化不良なのです。
 作者自身もブログで未練タラタラなこと書いています。新人漫画家が担当さんのボツ攻撃に抗うことは出来なかったのでしょう。思う存分書かせてあげれば、もっといい話になったでしょうに。話が暗くなるような気もしますが。

 「俺様ティーチャー」は、中途半端せずにダラダラ書き続けてほ