「イエメンで鮭釣りを」2014/03/01 17:18

 アラビア半島南部の砂漠の国に川を作り、英国から鮭を大量輸送して鮭釣りをしようというトンデモ作戦を描いた、ポール・トーディのベストセラー小説。
 12年日本公開された英映画「砂漠でサーモン・フィッシング」が面白かったので原作本を図書館で借りてきたのですが。
 映画の方が面白かったです。川とか砂漠とかの風景映像の力もありますが、何よりもストーリーが、原作よりいろいろマイルドになっていて。
 本書は鮭プロジェクトに関するメールとか議事録とか雑誌記事や個人の日記などで構成されています。これがちょっと、イライラさせられます。
 主人公の水産学者・ジョーンズ博士は映画よりももっと草食性が強いイメージです。真面目な良い人なのですが、奥さんの尻に敷かれています。こんな自己中で感じの悪い奥さんとはさっさと別れれば良いのに、と思わずにいられません。
 思ったより毒気が強かった。そしてイイ人たちがみんな残念な結末になってしまって、後味悪いのですよね。ジョーンズ博士自身は、そんな結末になっても自分が信じたことなので納得しているのですが。
 ご都合主義であろうとも、映画版の方が良かったです。

第37回日本アカデミー賞授賞式2014/03/07 23:57

 オダギリジョーのお帽子がすっごい可愛かったです。それから、蒼井優の眼帯は何のコスプレだろうかと思ってしまったのですが。
 大物俳優が一堂に会して、コメントも衣装も華やかです。司会が西田敏行と木樹希林なのも、アカデミー賞ならではの組み合わせって感じで良かったです。
 賞自体は、色々大人の事情もからんで決められるんだろうって思うんですが、それでも、真木よう子が最優秀主演女優を取ったのは嬉しかったです。「さよなら渓谷」渾身の演技でしたから。
真木よう子は「そして父になる」助演女優とのW受賞になりましたが、助演の方はの中谷美紀が良かったかなあ。「利休にたずねよ」は外国の映画祭でも評価された美術での受賞。
 最優秀助演男優のリリー・フランキーも納得です。
 アニメ賞は「まどか」が取れば面白いと思ったのですが、まあ普通に「風立ちぬ」。
 新人賞で仮面ライダーのフィリップ君(菅田将暉くん)が出てきたのも嬉しい。
 そして作品、監督、主演男優で最優秀賞「船を編む」。熱くて真面目で丁寧で、いい映画でしたからね。
 一つ不満だったのは、主演男優5人の中に高良健吾が入っていなかったこと。なんでだろう、共演していた綾野剛は新人賞で取り上げられていたのに・・・・・

昨年の映画2014/03/08 21:53

昨年は、仕事辞めてから結構映画館に足を運べました。
邦画で印象的だったのは、
今年の映画賞で必ず取り上げられた「船を編む」
ブルーリボンで作品賞と男優賞取った「横道世之助」
同じくブルーリボンで貫地谷しほりが主演女優賞の「くちづけ」
そして、真木よう子が主演女優賞取りまくってた「さよなら渓谷」
「凶悪」は評価高かったのに、見逃しちゃったなあ。
洋画では、
大ヒットロングランでCDまで買ってしまった「レ・ミゼラブル」
ボリウッド映画サイコー、「きっと、うまくいく」
アメコミ系ハリウッド映画にして本格チャンバラをやってくれた「ウルヴァリン」
めっちゃ怖かった「死霊館」
いろんな分野で面白い作品に出会えました。

「小さいおうち」2014/03/08 21:54

ダブルヒロイン映画で、ベルリンで女優賞取った時には「どっから切っても華のある松たか子よりも、絵にかいたような田舎出の娘さんな黒木華の方が外人には受けるのかー」なんて思ったものですが。観て、納得。
時子奥様は女性としての美しさ華やかさと同時に感情的になる面もあって、ある意味これも典型的な女性像。劇中で「風と共に去りぬ」を読むシーンがありましたが、なるほどスカーレットを日本風に縮小させたと見えなくもないです。
女中のタキちゃんは大人しくて地味に見えても、純朴で良く働いて奥様に一途にお仕えしますって感じで、みんなから愛されるタイプ。控えめなところが、好感度高い。
黒木さん、昨年は「船を編む」とかドラマ「リーガル・ハイ」とか、「おおかみこどもの雨と雪」で声優もやってたり、大いに活躍中な若手女優さん。今回は東北娘でしたが、大阪出身ですしいつか関西弁キャラもやってほしい。
しかし、華やかなダブルヒロインが及びもつかないほど円熟の存在感だったのが倍賞千恵子さん(平成時代のタキちゃん。「永遠の0」といい、戦争中と現代の若者を交互に描く形が今の流行っていうかやりやすいのかなあ)でした。さすがでした。
ストーリーは、不倫モノとも百合映画とも見えるのですが、私には戦争映画のイメージが強かったです。物語の中心は小さいおうちの中の小さい出来事、なのですが、それに影響を与える大きなもの、戦争の存在感。「戦勝大売出し」とか浮かれ騒いでいるのが、日本が泥沼に転がり落ちる入口だったと、現代に生きる我々には分かっているわけですが。
女性たちの着物や、昭和モダンの調度がオシャレ。それなのに、時々画面が人形劇のセットみたいに見えるのが不思議でした。小さいおうちも、なんかママゴトみたいに。
終盤に絵本が出てきて、そういうコトなのかなあ、と思いました。小さいおうちの、絵本のイメージで撮っていたのか、と。

「川瀬巴水展―郷愁の日本風景」2014/03/10 22:18

 大阪高島屋で開催されていた版画展。大正―昭和の時代、日本各地をスケッチ旅行して描かれた風景画。
 刷られた版画と、その元になったスケッチや水彩画を並べてくれたり、版画ができるまで何十回と版を重ねていく映像が用意されていたりして面白かったです。
 版画って案外、淡くて繊細。光や空気の透明感がステキでした。
 たまたまTVで見かけた時から美しいと思ったのが「大阪道とん堀の朝」。それなのに、ミュージアムショップでポストカード探したけど、無かった。何で・・・・。

「家路」2014/03/13 11:13

 沢の水を手ですくって口に含む。
 シンプルでありながら美しいオープニング映像なのに、それを観てゾクッとしてしまったのは、その山野が放射能で汚染された地域だから。

 なんか違う。3.11後の福島を舞台にして、無人の荒れた街並みや狭くて無機質な仮説の並ぶ画とかもあるのですが、よくある震災モノ映画やドキュメント番組とは全然違う。
「家族モノ」「農業モノ」映画でした。
 原発事故のためかけがえのない日常生活を奪われてしまった的なカンジじゃなく、この一家のそれぞれが事故以前から影を含んでいた点に特色があります。それまであったものが失われてしまったからこそ、自分の生き方を見つめなおしたり新たな価値観を得たりもできるんじゃないか、と。
 福島の人たちにはウケが悪いんじゃないかと、思えてきます。田舎の美しいところも、イヤな感じも両方みつめた作品なので。
 簡単にまとめてしまうと、事情があって故郷を追われた次男(松山ケンイチ)は原発事故で無人になってしまったおかげで実家に帰って農業生活に戻ることができ、先祖伝来の土地に拘って仮設でウジウジしていた長男(内野聖陽)は気まずかった弟と再会してなんか吹っ切れて別の土地で農業再開の決心をつけるお話。
 次男の方は東京での生活で大変わびしい思いをしていたらしく、電気もつかない無人の山野での農業生活をめっちゃ晴れ晴れした表情で満喫しています。これは松山ケンイチによるキャラクター解釈の要因が大きいんじゃないかと思います。「被災者」としての悲壮感とか不安とか怒りとかは全然なく(そのへんはお兄ちゃんのほうが表わしています)、新たな生活を穏やかに力強く進めていくのが、黙々と農作業する姿からビシビシ伝わってきます。
 最後に認知症になった母親(田中裕子)と並んで田植え(今時手で植えるって・・・・)をするのがクライマックスシーン。親子で全く同じリズムで作業します。すごい地味なのに、ちゃんと美しい。
 久保田直監督はドキュメンタリー畑の人なのですが、説明的なナレーションが一切なくて安心しました。思わせぶりなセリフはちょっとわざとらしさも感じましたが、役者がみんな上手いので。
 音楽は加古隆でした。NHKスペシャルの「パリは燃えているか」とか映画「最後の忠臣蔵」「博士の愛した数式」など手がけた方で、優しいピアノが素敵です。
 色々私好みの要素が多い映画なのですが、とにかく地味な美しさで、眠たくなってくるのが難点。

第86回センバツ、開幕、21世紀枠の都立チーム2014/03/22 10:08

 今の会社は祝日出勤アリなので私はお仕事でしたが、センバツの方は開会式が休日と重なって、お客さん大入りだったそうです。地元・近畿勢やセンバツ初の都立高校の試合もありましたし。
 しかし、現実は厳しいっていうか。こういっちゃ失礼ですが、平日二時間しか練習時間ないチームに、履正社が負けるとは全然思っていなかったのですが。
 それにしたって、一安打11失点の小山台の完敗っぷり。都立の甲子園一勝へはまだ遠いっていうか、ノーヒットノーランにならんで良かった(あんまりいい当たりじゃなかったけど、執念かなあ)と思ったくらいです。
 第一試合 神村学園6-1岩国
 第二試合 福知山成美6-2山梨学院大付属
 第三試合 履正社11-0小山台

第86回センバツ、二日目、古豪から新顔まで2014/03/22 23:58

 昨年の優勝投手(小島投手)と準優勝投手(安楽投手)が旗だけ持ってきた(チームとしては帰ってこれなかった)センバツ開会式。
 昨シーズンは二年生プレイヤーが大活躍していて期待していたのに、そう簡単には甲子園には出てこられない厳しい現実。
 よって、今大会は「優勝候補ナシ、どこが来るか分からん」感じになっています。
 が、それでもそれなりに、見所はあるもの。

第一試合、駒大苫小牧3-0創成館
 2004年の夏、北海道に初めて優勝旗が渡っていったことに、結構感動していました。「雪国のハンデ」がもっともらしく語られていた時代に、「北海道ナメンナ」って感じの気迫が、とても熱かった夏。
それからもう10年近く、あの年の主将が監督となって母校を率いてきました。試合よりも試合後の佐々木監督のインタビューの方が感慨深かった・・・

第二試合、池田4-3海南
 どちらもセンバツ27年ぶりの県立高校、となると、21世紀枠の海南よりちゃんと四国大会を準優勝して出てきた池田の方を応援したくなるものです。三点リードを終盤追いついて、サヨナラ勝ち。
 序盤中盤は完全に海南ペースで、ミスを恐れぬ積極的走塁と笑顔で、エースが怪我で出られない(白いギプスが痛々しかった)とは思えないハツラツぶり。しかし、八回のマウンドではその笑顔が消えてしまって、逆転を許してしまいました。

第三試合、豊川4-3日本文理
 延長13回の熱戦で、初出場の豊川がサヨナラ。
 明治神宮大会準優勝の日本文理は終盤加点していったのですが、豊川は粘り強く食らいついていきました。エース田中の好投が、強力打線を抑えました。
 日本文理の飯塚投手も素晴らしい投球だったのですが、味方の失策が失点に繋がったことが明暗を分けた感じです。

第86回センバツ、三日目、沖縄と栃木2014/03/23 16:32

第一試合 沖縄尚学1-0報徳
 昨日の駒大苫小牧の佐々木監督と同じように、沖縄尚学の比嘉監督もまた、沖縄勢甲子園初優勝時のエースで、母校の監督に就任。それに加えて監督としても選抜優勝して、今回は三期連続の甲子園で秋の神宮大会でも優勝して、まあ、実績と経験と実力を備えての危なげないスタートでした。
 得点こそ一点どまりでしたが、守備が固くて山城投手(スゴク特徴ある投球フォーム)を報徳が打ち崩せる感じが全然しなかったなあ。

第二試合 白鷗大足利9-1東陵
 センバツ初出場対決ですが、白鷗大足利は、夏は結構甲子園やってきている印象有ります。一失点完投の比嘉投手は沖縄出身で、二回戦は地元・沖縄尚学との対決です。
 宮城県から東北と仙台育英以外のチームが甲子園に出てくるのは珍しいので東陵には頑張ってほしかったのですが、守備がバタバタしているうちに大量失点。

第二試合 佐野日大2-0鎮西
 田島投手が12奪三振無四球完封で、本日二校目の栃木チームが二回戦進出。
 熊本・鎮西は最終回粘ったんだけど、ミスからの失点が、好投手相手では致命傷になっちゃうなあ。

第86回センバツ、再試合2014/03/30 17:23

 予定では、休日に準々決勝があって、お天気が良ければ球場まで行って四試合観戦しようかと思っていました。しかし思惑は外れ、本日は昨日延長15回で勝負がつかなかった大戦の、再試合一つだけで、正直がっかりです。
 昨日で勝負を決めて欲しかったのですが、まあ、このお天気では再試合がなくても四試合行うのはキツイ感じでしたし。
 おやつに焼いたマフィンと、紅茶に牛乳を入れて、TV観戦です。

桐生第一1-1広島新庄
桐生第一4-0広島新庄
・・・・広島新庄は春夏通じで初出場なのですが、それでも全国的に結構知られているのは、昨夏の広島大会決勝。延長十五回引き分け再試合の末に、惜しくも夏の初甲子園を逃したという・・・・・・・代が変わって念願の春の甲子園にやって来て、そこでもまた再試合やって、負けちゃうという・・・いやなジンクスがチームについちゃった感じです。
 投手が良いのですが、打てない。昨日は犠牲フライの1得点のみ。打てないのに、バントとかの工夫も足りない。そして昨日と同じ投手相手なのに今日もまた打てず、山岡投手を助けられませんでした。失策も多かった。
 対する桐生第一も、結構攻めが粗かった。夏優勝もある名門校ですが、結構塁上でアウトになるケースがあって、この走りの甘さは、先発メンバーは主将以外全員二年という若さゆえでしょうか。
 しかし守備が上手い。広島新庄が打てないと言いましたが、好守によって安打を損した面もあったと思います。
 ともあれ、二日間の熱戦、両チームともお疲れ様でした。

 これでようやくベスト8が出ました。他の7チームをみると。
龍谷大平安。昨日の二回戦では、相手のミスに付け込み積極的な走塁で鮮やかな先制パンチ。明日あたる桐生第一の阿部投手はどう考えても(打たせて取るタイプとはいえ)疲れているので、どう抑えられるか。
履正社。一回戦は大勝、二回戦は延長の末サヨナラと、イイ感じに経験は積んでいます。甲子園常連になりつつあるこのチーム、もう少し上を狙えるか。
福知山成美。打線好調のチームが、明日は履正社と近畿対決です。
豊川。春夏通じて初出場。粘り強さと全力疾走が魅力的で、応援したくなるチームです。
沖縄尚学。秋の神宮大会覇者が順当に勝ち上がってきました。山城投手に注目です。
明徳義塾。一、二回戦を強豪校相手に競り勝って、さすがの実力。攻守にわたって岸投手に頼りすぎたチームな気もするのですが。
佐野日大。これも好投手、田嶋君が、明徳の岸君との投げ合いになるかなあ。

八強に近畿勢が三つも残っているのに、明日はお仕事で観戦できない・・・