ベートーヴェン、貴族のサロン風2020/07/18 01:18

テレマン協会の定期は平日開催が多いのだけど、今回の270回定期は半休とって聴きに行きました。
各楽器が1~2しか出演しないという、通常のオーケストラ公演より大幅に少ない編成(とくに、弦のボリュームが……)と、間隔をあけた座席配置を「音楽会場ではなく貴族の館で演奏されるバージョンで、スカスカなんじゃないんです、ゆったりと優雅な空間なんですよ」という演出にしてしまえるのは、会場が古風な中央公会堂だからこそ。
ただ、延原さんが喋るとき用の透明の壁がやっぱり、武骨。聴衆よりも、後期高齢者のこのお方が最もウイルス風邪に気を付けて頂きたいし、息苦しいマスクなんて外して指揮やってもらいたい。……クラシックのお客さんも年配者が多いので、注意するのはもっともなことなんだと、分かってはいるんだけど。
演奏は、サリエリのオペラ序曲に続いて、ベートーヴェン三十代前半の初期交響曲。一番は、多分聴くの初めてだと思う。三楽章メヌエットって書いているのになんかティンパニのドン!が目立って、ちょっと変わった感じ。
交響曲二番は、攻める勢いと繊細な語り合いがいかにもベートーヴェンらしい。
アンコールは軽快に「トルコ行進曲」。欧州人にとって異教徒の敵国であっても、そこから新しい着想を取り入れるのが創造ってもんだ。

「MOTHER」2020/07/18 15:25

喜怒哀楽を失くしたような無表情な子供、よりも、色々語りたげな寄る辺ない後ろ姿、よりも、スクリーンにたっぷり見せつける長沢まさみの脚が映像的にインパクト大。
どこまでが事実に基づいているのか詳細は分からないけど、毒親、というにはあまりにもモンスターな母親。身勝手な大人に振り回される子供、っていうと是枝監督の「誰も知らない」「万引き家族」をぱっと思い出すけど、あれには子供らしさや人情味とかもある。しかし大森立嗣監督が描いたのは、まるで救いのないウツ映画だった。洗脳とか共依存とか、何かの言葉を当てはめられるようでいて、しかし「理解できるもんならやってみろや」って感じ、安易な解答を拒む。
それでもあえて理解しようとするならば、この母親は自分を立ち直らせて救いの手を伸ばしてくれる人よりも、ダメな自分を拒むことなく共に堕落してくれる相手が欲しいんだなあ。
そんなのダメだって分かっていながら、どこまでも母親に従ってしまう息子の方が、不可解。子供は反抗期を迎えるものだと思うし、守るべき妹だっているのに。とんでもなく優しい子なのか、なんの希望も持たない諦めきった子なのか。

「コンフィデンスマンPJ ロマンス編」2020/07/20 22:43

本編の内容以上に、冒頭の短いお悔み文の方が衝撃的で謎めいていた土曜プレミアム。
まだ若くてイケメンでお仕事も大きいのをこなしていってて。そんな状況でこんなことが起こるなんてねえ。

人気脚本家と豪華俳優陣によるコメディシリーズ、昨年の劇場版。TVドラマ版はポチポチ見ていたので、その時のゲスト(詐欺被害者)の方々がチラチラ出てくるのにちょっと笑ったり。
ゲストといえば、江口洋介の格好良いのに三枚目、な姿が拝める貴重な作品でもあります。
信用詐欺師三人組が中心となって大がかりな仕掛けを行う。大人数動員しすぎて情報漏れ必至じゃないか、とか利益がほとんどないんじゃないか、とかも思っちゃうけど。
……報道で、コロナ対策とか五輪費用とか見聞きしていると、彼らの言う金額が数百億でもあんまり大きく感じられないというオカシナ麻痺感覚もあります。
それでも、今週封切りの新作映画はきっとウケるだろうな、と思います。こういう辛気臭い世相だからこそ、ぱーっと明るく楽しい作品は必要だよね。