「藁の盾」 ― 2013/05/18 00:11
何よりも、タイトルが秀逸すぎます。
大金持ちが、孫娘を惨殺した犯人の抹殺依頼を新聞やネットで公表する。
それだけのことでも、たくさんの人を動かして手の込んだ根回しを必要とする。ただ殺したいだけなら、凄腕の探偵を雇って犯人の潜伏先を突き止め、凄腕のヒットマンを雇って仕留めた方がシンプルで無関係な人を巻き込まずにすむのですが・・・・
世間に自分の顔と名前を公にした上で、復讐したかったのかもしれません。そのへんの心境は、多くは語られていません。
そんなわけで、殺せば10億、殺人未遂でも1億というべらぼうな賞金が、興味本位の人々と金に目がくらんだ人々と本気で金に困っている人々を狂気の渦へ引き込みます。
それに対して、犯人を無事に護送する任務を負ったSPたちの、脆いこと。彼らの能力値とか状況の悪さよりも、「やる気」が出ないことが問題です。
この殺人犯、どこまでも自分本位でムカつく言動しかしない「人間のクズ」で、「俺たちが命がけで守る価値があるのか」という疑念が、彼らの仕事を虚しくします。
復讐心。
醜悪な保護対象者。
金の威力。
これらに対し、「仕事」「使命」「プライド」「正義」・・・・・それらは弱くて脆くて虚しくて、すぐに消えてしまいそうで。
だけど、彼らが守りたかったのは、そんな「藁の盾」そのものだったのだろうなあ、と思いました。
大金持ちが、孫娘を惨殺した犯人の抹殺依頼を新聞やネットで公表する。
それだけのことでも、たくさんの人を動かして手の込んだ根回しを必要とする。ただ殺したいだけなら、凄腕の探偵を雇って犯人の潜伏先を突き止め、凄腕のヒットマンを雇って仕留めた方がシンプルで無関係な人を巻き込まずにすむのですが・・・・
世間に自分の顔と名前を公にした上で、復讐したかったのかもしれません。そのへんの心境は、多くは語られていません。
そんなわけで、殺せば10億、殺人未遂でも1億というべらぼうな賞金が、興味本位の人々と金に目がくらんだ人々と本気で金に困っている人々を狂気の渦へ引き込みます。
それに対して、犯人を無事に護送する任務を負ったSPたちの、脆いこと。彼らの能力値とか状況の悪さよりも、「やる気」が出ないことが問題です。
この殺人犯、どこまでも自分本位でムカつく言動しかしない「人間のクズ」で、「俺たちが命がけで守る価値があるのか」という疑念が、彼らの仕事を虚しくします。
復讐心。
醜悪な保護対象者。
金の威力。
これらに対し、「仕事」「使命」「プライド」「正義」・・・・・それらは弱くて脆くて虚しくて、すぐに消えてしまいそうで。
だけど、彼らが守りたかったのは、そんな「藁の盾」そのものだったのだろうなあ、と思いました。
「炎路を行く者」 ― 2013/05/18 22:56
十五の我には 見えざりし 弓のゆがみと 矢のゆがみ
二十歳の我の この目には、なんとなく見える 不思議さよ
歯噛みし、迷い、うちふるえ、暗い夜道を歩き折る、あの日の我に会えるなら
昨年二月に刊行された、「守り人シリーズ」のスピンオフ。
ヒューゴを主人公にした中編と、バルサが主人公の短編。守り人本編ではとっても格好良い「デキる大人」であった彼らも、十代の頃にはモヤモヤしたものを抱えて自分の情けなさに歯噛みする日々だった・・・・・
「炎路の旅人」
自分の祖国を滅ぼされる。
そんな経験は私にはありませんが、この国にも、きっとヒューゴのような少年がいたんだろうなあ。迷いなく信じていたことが崩壊し、変わってしまった社会を受け入れられずにやるせなさと憤りを持て余す、純粋な軍国少年。
そんなヒューゴ少年が、もっと大きな世界を目指して旅立つまでのお話。
そういう青臭い話も嫌いじゃないのですが、その後大人になった彼が何を見てどう考えてのし上っていったか、ってあたりの方が気になっちゃいます。
「十五の我には」
バルサの少女時代には、彼女の養父・ジグロさんのメチャメチャ格好良い姿がセットになってきます。
過酷な運命にあっても、こういう大人の側で育ったからこそ、後の女用心棒・バルサの実力と人間性が培われ、それはさらに、彼女の守ったチャグム皇子にも受け継がれていく。その、人と人との繋がりに、胸が熱くなります。
守り人シリーズ、また読み返したくなってきました。
二十歳の我の この目には、なんとなく見える 不思議さよ
歯噛みし、迷い、うちふるえ、暗い夜道を歩き折る、あの日の我に会えるなら
昨年二月に刊行された、「守り人シリーズ」のスピンオフ。
ヒューゴを主人公にした中編と、バルサが主人公の短編。守り人本編ではとっても格好良い「デキる大人」であった彼らも、十代の頃にはモヤモヤしたものを抱えて自分の情けなさに歯噛みする日々だった・・・・・
「炎路の旅人」
自分の祖国を滅ぼされる。
そんな経験は私にはありませんが、この国にも、きっとヒューゴのような少年がいたんだろうなあ。迷いなく信じていたことが崩壊し、変わってしまった社会を受け入れられずにやるせなさと憤りを持て余す、純粋な軍国少年。
そんなヒューゴ少年が、もっと大きな世界を目指して旅立つまでのお話。
そういう青臭い話も嫌いじゃないのですが、その後大人になった彼が何を見てどう考えてのし上っていったか、ってあたりの方が気になっちゃいます。
「十五の我には」
バルサの少女時代には、彼女の養父・ジグロさんのメチャメチャ格好良い姿がセットになってきます。
過酷な運命にあっても、こういう大人の側で育ったからこそ、後の女用心棒・バルサの実力と人間性が培われ、それはさらに、彼女の守ったチャグム皇子にも受け継がれていく。その、人と人との繋がりに、胸が熱くなります。
守り人シリーズ、また読み返したくなってきました。
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