「クヒオ大佐」2014/01/04 17:12

米国をはじめとした多国籍軍がイラクを攻撃していた、湾岸戦争。
 その頃、駐日米軍パイロットに扮し、女をだまして金を巻き上げていた日本人詐欺師がいました・・・・
 土下座銀行員ブームやツナガリやすさCM等で、TVをつけさえすれば毎日のようにその名が出るようになった堺雅人さん。
 ああいうピシッとした姿も好きなのですが、けっこうトホホな役も似合っていて、仕事の幅広いのが魅力です。
 深夜TVで観た「クヒオ大佐」も、まず、ツケ鼻に笑います。
 女をだますワルイ男なのですが、あまりにも迂闊っていうかマヌケなのです。米国人に扮するわりに、英語できなくて名詞のスペルも間違っているし。
 不遇な子供時代、空想によって自分を支えた少年が、そのまま大人になってしまったお話。

「毎日かあさん」2014/01/05 15:37

 新春恒例ですが、年末年始にTV放送された映画を見まくっています。
 
 ホームドラマ、なのですが。
 何が凄いって、小泉今日子演じる「かあさん」がたいへんスーパーです。
 絵の仕事がしたい、という若い頃からの希望通りに漫画家になってバリバリ働いて家を建てて。
 この家が、立派で。日当たり良くて暖炉らしきものがあって、小さい子供が二人もいるのにとっ散らかった感じがしません。なんていうか、銀行でもらったタオルとか使ってなさそうなキレイさです。
 子供たちが寝る前には好きな酒を飲みつつ絵本を読んであげて、徹夜明けでも一緒に遊んであげて、どんなにアホでも「子供は叱らない、ほめて伸ばす」主義。漫画家という特殊な職業であっても「母」の肩書があればママ友仲間から浮いてしまうことはないようすで、他のママさんたちと一緒に子供やダンナの悪態で大盛り上がり。
 アル中で何度も入退院繰り返す夫に小気味よく悪態ついて離婚届突きつけて、それでも「お酒やめたら戻っておいで」と言えてしまう格好よさ。
 ベストマザーにも程があるっていうか。ここまでパワフルで懐広くないと「かあさん」になれないものなのか。
 映画的脚色で、大変理想的な「かあさん」ができあがっていました。
 一つ惜しかったのが、ヒールが高すぎたことでしょうか。仕事でお出かけ時なのでキチッとした服装なのは分かるのですが、四十過ぎの母親に、あのピンヒールはなんかアンバランス。
 徹夜明けでよれっとした格好していてもさすがに魅力的だった小泉今日子が、オシャレな靴によってかえって安っぽく見えてしまった皮肉。

「バッテリー」2014/01/06 16:22

 劇場版がTV放送されていたので、久しぶりに「TIGER &BUNNY」を観ましたら。
 虎徹さんの声が「宇宙兄弟」のムっちゃんにしか聴こえなくって。
 立ち位置的にも、三枚目でときどきスゴクイイこと言う、仲良しコンビの年長者の方ってあたりが似ていて。


「たいへん有名な作家さんでありながら一作もまともに読んだことないのに挑戦してみよう」シリーズとして、昨年末の林真理子に続いて、あさのあつこ。
 昔から野球好きの本読みをやってきたというのに、少年野球作品の代名詞みたいな本作を何故かちいとも読んでいませんでした。児童小説の分野にあったので、なんとなく手を出しそびれていたのです。
 図書館でとりあえず、一巻目と二巻目を借りてみました。
 まずこれ、「野球小説」というより、「野球をやってる少年」の物語だと思いました。「少年」の比重が重くて、野球はそれを表現するためのアイテムに過ぎません。
 そして、こだわりぬいて描かれた主人公の原田巧くん、はっきり言ってとっても性格悪い奴です。とてつもなく真っ直ぐで、ひどく神経質でありながら無神経で、自己中で自信過剰で我が強くて、ガキです。「反抗期」という名の一過性の症状としてはよくあるような気もしますが、彼の場合は元々の人間性がそんな感じなのです。
 そういう人間にとって、世界は必ずしも生きやすいステージとは限りません。二巻に入って中学(一昔前の管理主義な校風)に入学すると、ますます作品世界は息苦しい感じになります。
 その息苦しさを、主人公は並外れた野球の実力ひとつで、乗り越えようとします。
 この作品が児童小説として成功を収めているからには、世の少年少女たちは巧君のそういうところに共感や憧れを抱いたりするのでしょう。
 それはまあ、分かるんですが。
 正直、私がこの主人公よりもニガテに感じたのは、女房役の捕手の男の子の方でした。とっても常識的で他人に気配りできる、よく出来すぎた少年で、しかし巧君が絡むと、頭に血が上って熱くなって、ちょっと気持ち悪い。
 どんだけ熱愛してんですか、と。
 続きを読むかどうかは、未定です。

「クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い」2014/01/09 15:08

「たいへん有名な作家さんでありながら一作もまともに読んだことないのに挑戦してみよう」シリーズ、今度は西尾維新。2002年メフィスト賞受賞の、デビュー作です。
 漫画とコラボしたり作品がアニメなったりと精力的なお仕事をされている方でありますが、随分昔に、最初の2ページ程を読んで書棚に戻してしまった本書を、再チャレンジしてみました。
 漫画やなあ。
 最近のラノベって、みんなこんな感じなんでしょうか。世界観がSFとかオカルトとかいうのは昔からありましたが、本書の場合世界観は普通で、登場人物の設定と人間性がいちいち飛びぬけて極端。「人間」ではなく「キャラ」を描いているなあ、と思いました。
 殺人事件が発生してからは、普通にミステリとしてすいすい読んでいきました。
 肝心の謎解きが「キャラ設定の特異性」が肝になっていて要するに「そんなん普通の人間ではありえないですね」っていうのは反則な気もするんですが、もう、そういう作品なのだと納得するしかないのでしょう。

「鬼灯の冷徹」2014/01/11 10:00

ここはじーごーく、じーごーく、スーテーキーなーじーごーくー
・・・という愉快なオープニングから「美しいハーモニーで何歌わせてんですか!」っていうエンディング曲まで、大いにツボなアニメでした。
 地獄を一個の巨大官庁組織に模して、クールな仕事人を主人公にした鬼に金棒獄卒ライフ。主人公の着流し姿と安元洋貴さんの低音ボイスを堪能できます。
 ボケとツッコミとパロディのノリに、なんちゃって幕末を舞台にした「銀魂」をチラッと連想しました。
 こんなに愉快なら、地獄に落ちてみたいもんです。

「船を編む」2014/01/13 11:04

 装丁が好きです。
 音楽を扱う小説用に、「併せてお楽しみください」とネット上に曲を揃えて用意してくれるような試みもあるそうですが、本書は小説の装丁そのものが出版社が舞台の作品イメージを具象化させてくれていて、何度も眺めてしまいます。
「たいへん有名な作家さんでありながら一作もまともに読んだことないのに挑戦してみよう」シリーズ、メディア化されたモノには触れたことあるけど小説の方は初めてな、三浦しをん。
 2012年本屋大賞。映画版が面白かったのですが、原作を読んで、大筋には変更ないけど意外と映画オリジナルエピソードが多かったことが分かりました。
 辞書作りの物語。映画では「熱いな」と思ったのですが、原作の方がコメディ色が強い、お笑いのセンスが良い、という印象です。15枚に渡るラブレター笑いました、全文を掲載して欲しかったです。
 人気のあるわけが分かります。楽しく読めました。

「利休にたずねよ」2014/01/16 00:14

 今年の大河ドラマの楽しみの一つが、江口洋介演じる織田信長だったりするのでが。
 伊勢谷友介の信長も、格好良い。出番もう少し欲しかったです。

 殺伐した戦国武将たちのココロを癒したカリスマ、千利休。
 彼のこだわった侘び茶スタイルの数々は、若き日の個人的な思い出の再現だったのでした、というお話。
 とっても端正な画面の映画で、特に海老蔵と中谷美紀の所作、一つ一つが、美しい。食べ物がおいしそう。
 ところが、気合入った映画なのに、何か物足りない。
 利休の若い頃から切腹まで長い期間が描かれるのですが、何か、エピソードが切れ切れな感じがします。各エピソードの間の人・時代の変化とかは「察してね」って感じで。
 たとえば秀吉の利休に対する接し方の変化、彼の胸中の動きってもっと色々ありそうなんですが、「最初心酔していてしまいに狂気じみてくる」っていうことは強調されるけどその間の時期が描写薄くて、変化が唐突な感じなのです。
 原作を読んでみたいな、と思いました。映画はセリフも少なめで、要はもうちょっと説明が欲しいのだと思います。映画の場面を思い出しながら心理描写を補完できれば、楽しめそうです。

「黒革の手帖」2014/01/17 10:31

 松本清張っていうと、いまだに火曜サスペンス劇場のテーマ曲と竹内まりやの歌声が連想されてしまう私って、なかなか平成の人になれない昭和人なのか。
 でもやっぱり、清張は昭和の女と裏社会を切り取った作家なのだと、改めて思いました。「総会屋」って単語を久しぶりに目にしたのですが、今でもこの商売(?)って繁盛しているのでしょうか。
 始終TVドラマでやっているのでなかなか小説の方を手に取ろうとは思えなかったのですが、「たいへん有名な作家さんでありながら一作もまともに読んだことないのに挑戦してみよう」
 誰からも顧みられることなく地味に銀行勤めをしていた女が、まんまと銀行から大金を横領してみせる。その動機は、男に貢ぐのでもギャンブルに狂ったのでもない。
 面白くもない日常からの脱却。そして彼女は銀座のバーのママになり、策をめぐらし駆け引きを行い、野心を育てていく。
 ヒロインの欲ボケ色ボケと都合の良い展開で、途中ダレてくることもあったのですが。
 ところが、終盤の追い込みが凄かったです。容赦なくて。
 ストーリーの材料となるネタは週刊誌から拾い上げたような感じなんですが、その料理の仕方が、とっても巧みなのでした。

「正義のゆくえ I・C・E特別捜査官」2014/01/19 22:03

 2008年の米映画。
 ハリソン・フォードもすっかりじいさんになってしまいました。格好良いヒーローのイメージが強い彼ですが、こんな地味な社会派映画にも出演していたのか、という思いです。
 主演はいちおうハリソン・フォードですが、いくつものエピソードが同時並行される形なので、それぞれのエピソードごとの主人公もいます。
 登場人物が(最初は)何のつながりもなく次々に出てくるので戸惑うのですが、上手い具合にまとめて分かりやすい仕上げになっていました。
 テーマは米国における外国人。日本は難民受け入れとか移民とかに超閉鎖的なので、たまにこうした別社会のシステムを垣間見ると、とても興味深いです。
 メキシコからの不法労働者から始まって、ユダヤ系、オーストラリア人、イスラム系、コリアン・・・人種のるつぼ、多くの民族、宗教、価値観が入り乱れています。
 どうにかして不法滞在の不安定さから脱して晴れて米国市民権を得たい。労働ビザが欲しい。自由の国で成功を収めたい。・・・・そのために米国人の男と結婚しようとしたり証書を偽造しようとしする人、それに付け込もうとする人、取り締まろうとする人、手助けしようとする人。
その結果、いろんな理由で強制送還されたり、うまいこと市民権を得ることができたり、命を落としたりします。
 それぞれの民族事情など、モデル化しすぎたところもあるかと思うのですが、前述のとおり話の構成がとても上手くて、難しい問題を難しくなりすぎずに楽しく視聴できました。

「ゼロ・グラビティ」2014/01/23 16:19

「ISS」よりも「天宮」の方がネーミングが格好良くていいなあって思います。
 宇宙ステーションに格好よさを求める必要があるかどうかって言われたら、やっぱりあるでしょう。「はやぶさ」の例もあるように、理屈を超えた夢やロマンを掻き立ててくれる方が、テンションあがるもんです。

「宇宙兄弟」と合わせて観ると、パラシュートが開く瞬間、ちょっと感動できます。
 珍しく、3D吹き替えで観ました。
 主な登場人物二名による、90分間の「無重力空間映像」。
 衛星の破片で色々ぶっ壊されて地球とも連絡を取れなくなって宇宙に二人ボッチになってしまった宇宙飛行士が、どうにかして生き残ろうと頑張る、という、ただそれだけの非常にシンプルなストーリー。
 上も下もない宇宙空間。危険な状況になっても逃げ場がない、救助を待つわけにもいかない。そんなシビアさを、ストイックに表した映画だと思いました。
 ただ、シンプルでストイックであるからこそ、単調ともいえるかもしれません。色気にかけるというか、どんなにリアルに宇宙空間を描いていてもそれだけでその脅威を強く印象付けるのは難しいと思うのです。たとえば雄大な自然とか、すごく高所のシーンとか、無残な死体とかなら、映像だけでガツンとインパクトがあるのですが。
 女宇宙飛行士の方が性格暗いことも、変に哲学的になった感じです。その分、ジョージ・クルーニーが明るくて頼もしいのですが。
 意外と、観る者のイマジネーション能力が要求されるような気がします。