「下流の宴」2014/01/24 22:17

 巻末の謝辞に「この通信教育を必死にうけてくださり、日夜勉学に励んでくれた毎日新聞の学芸部記者・内藤麻里子さん」とあったのに笑いました。
小説の中でお受験の通信教育を受けるのですが、お受験ハウツー本を資料にするくらいだとばかり思っていたのに、リアルに通信教育やっていたとは!新聞社員も大変なもんです。

 新聞連載中もポツポツ読んでいたのですが、始めの方は読み飛ばしていたこともあり、改めて読んでみました。
 連載時は話が進まない感じがしていたのですが、一冊まとめて読むとむしろテンポの良い小説です。そして、「こういう人、いるいる!」というリアルさが、林真理子作品の面白いところです。
 日本の下流生活者と中流生活者の典型が、ちりばめられています。
1、上等な鞄を買うため(買える身分になるため)、たくさん努力をする。
2、余計な努力なんてしないために、端っから上等な鞄なんかに関心を持たない。
と、いう二つのイデオロギーがあって、私なんかはどちらもそれなりに「わかるなあ」って思っちゃうのですが、分からない人にとっては、どうしてももう片方の価値観を理解できない、そのかみ合わないっぷりが可笑しくもあり切なくもあり。
 そしてお話的には、1の方が盛り上がるものなのです。
 小説の実質のヒロインであるタマちゃんは、最初ははっきりと2の人(高卒フリーター)だったのですが、1の人(医者の娘である彼氏の母親)にバカにされてしまったことから、一念発起して医学部受験に挑みます。
 がんばれタマちゃん、愛と名誉のために!

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