「君たちはどう生きるか」2023/10/07 23:32

とにかく、わらわらさんたちが、可愛すぎます。あの極めてシンプルな白一色のボディに、絶妙に緩い表情が最高です。

ジブリ映画の少年たちは、みんなすごく良い子。勇敢で思いやりがあって聡明で頼りになる。
しかし、宮崎駿監督の最新作では、年相応に拗らせていて、なんとなくニヤニヤしてしまう。表情は硬く時に攻撃的。眞人くんの引っ越し先は素敵なお屋敷ですが、人物と住まいとの作画タッチがはっきりと違うのも、現実(母の死や父の再婚など)を受け入れられない、現世からの疎外感を表現しているようにも思えます。
そうして引き籠もり予備軍みたいになっていた少年が、異世界での冒険を通して変化していく、という展開。
火災シーンの迫力や、屋敷に住み着く妖怪っぽい(失礼!)おばあちゃんたちや、アオサギの不気味さなど、中盤まではもの凄く面白くてワクワク観ていたのですが。
説明が省略されすぎでしょうか。異世界へ行く前、眞人は母親が自分に残してくれた本を見つけます。映画のタイトルにもなる、それを読んだ彼が大きな感銘を受けたことは想像できます。しかしどの言葉にどんな思いを抱いたのか、最後まで触れられず、なんだかタイトル詐欺にあったような気分です。
わらわらさんたちをはじめとする異世界での不思議な存在たちはなにがしかのメタファーなのでしょうが、世界の創造主が何を思ってああいう場を作り上げたのか。長い時を経て、筋金入りの引き籠もり空間に破綻が生じていたことは分かるのですが。
帰還の物語。
君たちの生きる世界へ、早くお帰り。

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