「THE LEGENDO & BUTTERFLY」2023/04/09 17:22

大河ドラマからドラえもんまで、大人気の古沢良太の脚本に、大友啓史監督。東映創立70周年記念で、その気合いの入れ方は、主演のチョイスにもうかがえます。
前半は、綾瀬はるか演じる帰蝶さまの凜々しさが光ります。この方も、民放でも大河でも武家の娘やってきましたし、さすがに板についています。
後半は、木村拓哉演じる信長の、裏に苦悩を伴った魔王の姿。クライマックスの本能寺は「生きて帰る!」決意と状況の絶望感の二律背反ぶつかり合いで盛り上がりました。
主演二人がとても運動神経良い方々で、戦闘でもそれ以外の動きでも、見応えがありました。
脇役の方々もそれぞれしっかりと個性的。徳川家康なんか、「味のあるおっさんだなあ、なんていう役者さんだろ」と、思っていたら、クレジットにイケメンで有名な俳優のお名前でびっくりしました。
口だけ格好だけのダサい尾張の悪ガキが、政略結婚で素敵なお嫁さんを迎え、彼女にイイとこ見せんがために柄にもなく張り切って、都へ乗り込む。
ふたりの運命が、重い沼にはまり込む。

「RRR」2022/12/30 00:13

インド系マッチョ、怖すぎて笑えるレベル。シリアスなシーンなのに笑いがこみ上げる。
理屈抜きに面白いって、このことです。インド映画特有の歌と踊りだけではない。肉体的アクションはスピードよりもスローモーションを多用して一つ一つの動作を強く印象付けます。CGの動物さんも大暴れ。なるほど、大スクリーンで観たい作品です。
大変熱いバディもので、対立する立場を知らぬまま友情を深め、苦悩しながら衝突、和解、共闘、勝利。目と目で通じ合う二人。インドの薬草効き過ぎでドラゴンボールの豆かってくらいの効能ですが、東洋の神秘なのです、きっと。
英国での評判・感想を知りたいですね。植民地時代のお話で、英国の偉い人たちの非道さがとても憎々しく描かれています。
……もしかしたら、かつて中国で大受けしたという(今は?)抗日ドラマって、こんな感じなのかな、と思いました。これだけ盛り上げてくれるのなら、いくら荒唐無稽でも拍手喝采されることでしょう、ちょっと観てみたい気もします。

「るろうに剣心 最終章 The beginning」2022/10/30 17:01

大分前に録画していた金曜ロオドショウをようやく視聴。ファイナルの方は観ていませんが、有名漫画原作なので筋は熟知。知らない方が面白かったでしょうね、人斬りの前に現れた謎の女の謎感が増して。
お話の時点で抜刀斎十代半ばのはずですが、さすがに無理があります。過酷な状況故の老成だと解釈するしか。あと、大根が豊作過ぎる、農業素人なのに。映画終盤の戦闘は結構ダレました。暗殺者集団の皆さん、数の利を生かしてみんなで囲んで襲撃すれば良いのに、戦力小出しにするとか定石から外れすぎる。
などと思いながらも、それでも、やっぱり面白かったです。のっけから佐藤健の超絶戦闘アクションで引っ張り込まれる。明治維新がらみの歴史上の人物も絡んでくるし、池田屋襲撃も思ったよりガッツリ血みどろに描かれたし、人気漫画実写映画っていうより、普通に歴史アクション大作。
もちろん、原作のストーリーがよくできていたからこその面白さでもあります。
るろ剣、再アニメ化のお話があるそうですが、大友啓史監督&佐藤健主演以上のアクション演出を表現できるか。

ライフ・イズ・ビューティフル2022/06/26 22:25

ウクライナのコメディアンが戦時の英雄となったのは間違いない。
ただし、そもそも国土を戦場にすることを防げなかった時点で、政治家として取り返しのつかない大失敗を犯したのも間違いない。

La vita è bella 
タイトルがあまりにも平凡で損している気もしますが、中身はまぎれもない名作。
戦争ものに子供って、決して外れない感動作間違いなしなのですが、それだけではない。前半はどたばたラブコメディで、チャップリン風。
後半は強制収容所。主人公のお気楽男はユダヤ系イタリア人だったのです。愛する妻とも引き裂かれ、辛く苦しい捕らわれの生活。
ところが、そこでも、明るいユーモアが漂う。お調子者だけど、陽気で機転の利く彼は、周囲からも自然と慕われているのが判ります。狂った状況下に、愛がある。
1998年、ロベルト・ベニーニ監督・脚本・主演の、奇跡の物語。
コメディアンは頭いいって説は、当たっているようです。

「La La Land」2017/03/13 00:24

たまに行くカフェバーの姐さんが、「ラストをハッピーエンドと見るか悲しいと見るか、意見が分かれる」って。なるほど、切なさを含んではいますが。
それより、話題作なので観に行ったのですが「それほど面白いかなあ」というのが私の感想。もっと楽しい作品を期待していたのですが、あんまり昂揚感がない。ピアノ演奏はとっても素敵でしたが。
あんまり恋愛映画とかラブ・ストーリーに好むわけではないのですが、そんな私の恋愛モノ歴の中でも最低クラスなロマンチック度だと思いました。
予告で面白いと思った高速道路ダンスシーンも、派手だけどなぜか力強さを感じない(予告で観すぎたせいかもしれませんが)。全体的に、ふわふわ軽くて薄い印象。
夢を追って頑張る人たちを応援します!というメッセージはとてもストレートに理解できるのですが、あまりにもストレートすぎて、かえって感動薄くなる。
恋も夢もファンタジックでドリーミングで、現在就職活動中の身には甘すぎかもしれません。

「ライト/オフ」2016/09/24 23:05

暗がりに、人影。電気を点けると何もない。しかし消灯すると、やはり何かが、いる。
そんな恐怖映像がネットで話題になり、それにハリウッドが目を付けた。
ということで、恐怖感はバッチリだろうと期待して観に行ったホラー映画。期待に違わぬ怖さ。ダイアナこわー、貞子メじゃない凶暴さです。光の中では現れないので、ほとんど黒い影と音声(脅迫する声とか足音とか爪音)でしか表されないのですが、それが、イイ感じに怖いのです。
ダイアナに取りつかれるお母さん。怖いけどお母さんを見捨てられない少年。そんな弟を守ろうとする姉ちゃん。お母さんも彼女なりに子供たちを守ろうとしていた。
元になる恐怖映像を作った監督さんは、これが初の商業映画となったわけですが。
ホラーの怖さに加えて家族ドラマの要素もあり、私好みの戦う美人さんの物語でもあり。
とても面白かったです。

「レヴェナント 蘇りし者」2016/05/07 23:44

赤い火星のサバイバル映画は残念ながら見逃して。
見比べしたかったんですけどね、こちらの白と灰色のサバイバルと。
主演男優賞・ディカプリオ演じるグラスさんの、死なないっぷりが凄いもんでした。瀕死の重傷を負って置き去りにされて、敵に追われて、次々ピンチ。あれでどうして生き延びるのか、あなた不死身ですか、ダイ・ハードですか。時間の経過が明示されないのであっという間に怪我が回復したようにも見えます。怪我以前に、雪の荒野でロクな装備も食料もなしで野宿です、凍死とか凍傷とかなりそうなんですが。執念というか人間の生命力凄いっていうか。
敵役のトム・ハーディの役どころも面白かったです。大変利己的な、絵にかいたような悪役。ですが、もう無理、と思って連れて行くのを断念するのに「最期を見届けて埋葬しよう」ってなんか偽善ぽくて、一思いに息の根止めて、という彼の意見の方が合理的ではあるのです。
非情な考えではありますが、この映画の中では「他の生き物を殺して生きていく」という自然の残酷さが繰り返し描かれています。殺し殺される世界、という真実。
その一方で、たびたび「神」のイメージも挿入されて、それが最後の、一ひねりして反転させることに説得力を持たせます。主人公の奥さんの幻影シーンはちょっとくどいと思ったけど。
淡い光を印象付ける映像も、怒涛の戦いを盛り上げる坂本龍一の音楽も良いです。
あと、格好良かったのは、熊さんの凶暴さ、しびれました

「ルーム」2016/05/04 00:38

少し前に、女子中学生が二年も監禁されていたという事件が発覚しましたが、一番の驚きは、その間逃げようとしなかったということ。
逃げ出せないしんりじょうたいになるのだ。とTVで誰かが言っていましたが、そんなものなのかな。だとしたら、親や学校は「知らない人について行かない」って予防策だけでなく、「変な人に捕まってしまった時の心得」も教育するべきなのだろうか。1、自分の身を守る2、助けを求める3、希望を捨てない。みたいな感じ。
だって「そんな心理になるから」で片づけてしまうには、あまりに長いよ、二年の空白は。
そんなことを思ったからこそ、観に行った映画。
17才の女子高生が7年間監禁されて、その間に子供までできてそれが5才にまで成長してしまいました、から始まる物語。
色々あって危機を感じた母親は、何とかして逃げようとするのですが。子供の方は、部屋の中が世界の全て(部屋の外は宇宙空間でTVの中の世界は嘘なんだよ、と変なファンタジーを教え込まれている)なのだから、いろいろかみ合わない。
それでも母親の必死さに圧されて、幼いカワイイ男の子による初めての冒険。この脱出作戦決行!も面白かったのですが。
これは、まだ前半戦。
大変なのは、長きにわたる異常事態から抜け出した、その後が大変だって話です。
これは私好みのテーマで、「異常事態」の部分に重きをおいて「その後」はあっさりな話(例:浦島太郎)もありますが、「ルーム」は半々な構成です。
外の世界を全く知らなかった五歳児も大変ですが、時間が経つにつれ、7年の青春時代を失った母親の方が精神的に参ってきます。
この母親役のブリー・ラーソンがアカデミーで主演女優賞を取ったのですが。
でも、この作品の肝はジャック役のジェイコブ・トレンブレイくんです。無垢な瞳に戸惑いや歓喜や恐怖や不満や使命感、そして母親への愛が映し出される。正直、原作小説の方が面白いかもしれないと思ったのですが、彼の愛くるしさと見事な表現力を堪能するだけでも一見の価値があったなあ。

「6才のボクが、大人になるまで。」2015/01/02 00:47

 人生劇場。テーマはズバリ、時の流れ。
 父母姉弟の四人の一家の物語を、12年の歳月をかけて撮った、なんとも気長な映画。登場人物の経てきた時の長さと、俳優陣の経てきた時の長さがリンクして妙なリアルさが出ています。
 現代アメリカ史をバックにしつつ、一組の家族の離合集散、その変化は一続きのものとして、ラスト高校を卒業して大学生活に入る主人公に集約されています。
 でもまあ、それだけって感じでもあります。
 小雪のちらつく寒気の中から暖房の効いた映画館のシートに腰を下ろして、つい心地よくウトウトしてしまったのも良くなかったのですが。ふと気付けば子供が大きくなっていたり、引っ越ししていたり、家族の人数が増減していたりで「いつの間に何だってこんなことに!」という感じ。
 二時間半以上もある長い作品ですが、それでも取り扱う期間が長いものだからそうそうジックリ描けるものでもなく、出来事と出来事の間というか経過部分は端折らざるを得ないのでしょう。彼らの人生の変化に唐突感があります。
 しかし、そうは言ってもやっぱり「これだけの年月があれば社会も動き、人の人生にも成長や変化があるもんです」という説得力は凄いです。子供だった主人公の高校卒業祝いの場面なんかは、「こんなに大きく成長しました」っていう感動があります。
 両親は老けていき子供たちは成長していき、TOYOTAのロゴが最後に「Y」だけになって。

「るろうに剣心 京都大火編・伝説の最期編」2014/09/20 00:26

 観客の目を釘付けにするアクション、それをさらに盛り上げる強烈な音楽、芸達者なキャスト。屋根の上を走る健くん、馬で疾走する健くん、チャンバラな健くん。
 前編を観て、これは今年一番の傑作だ!と大興奮で、期待して後編も観に行きました。
 そして、一つ分かりました。アクションも音楽も役者の芝居も大切ですが、その土台となる脚本がしっかりしていないと、文字通り台無しになってしまうのだ、と。
 映画として時間の制約もあるでしょうから多少の改変は仕方がないのですが、前編は基本的に原作のオイシイところをきちんとおさえた、うまい脚本だったのです。
 しかし後編はオリジナル要素が多くて、なんか弱い。いいセリフなのに何故かとってつけたように上滑りしてしまうのは、説得力が薄いからでしょう。
 だいたい剣心は、薫殿が死んだかもしれない時にすっぱりと奥義の修行に頭切り替えられるほどタフではないでござるよ。
 戦いが終わった後は仲間たちの笑顔が迎えてくれれば良いのであって、手のひら返したお偉いさんたちの敬礼(わざとらしい)なんていらないでござるよ。
 ボコボコにやられて京都で療養していたはずの人がいきなり東京での戦闘に乱入してくるとは、クライマックスシーンのはずなのに失笑ものでござるよ。
 おかしな設定や大勢の雑魚キャラを減らして、主要キャラの見せ場をもっと増やしてくれれば良かったのでござる。
 本当に、前編の評価と後編への期待が高かった分、余計に残念。
 ストーリーはギャグだと割り切って、役者さんのアクションを楽しむ映画。