「ルーム」2016/05/04 00:38

少し前に、女子中学生が二年も監禁されていたという事件が発覚しましたが、一番の驚きは、その間逃げようとしなかったということ。
逃げ出せないしんりじょうたいになるのだ。とTVで誰かが言っていましたが、そんなものなのかな。だとしたら、親や学校は「知らない人について行かない」って予防策だけでなく、「変な人に捕まってしまった時の心得」も教育するべきなのだろうか。1、自分の身を守る2、助けを求める3、希望を捨てない。みたいな感じ。
だって「そんな心理になるから」で片づけてしまうには、あまりに長いよ、二年の空白は。
そんなことを思ったからこそ、観に行った映画。
17才の女子高生が7年間監禁されて、その間に子供までできてそれが5才にまで成長してしまいました、から始まる物語。
色々あって危機を感じた母親は、何とかして逃げようとするのですが。子供の方は、部屋の中が世界の全て(部屋の外は宇宙空間でTVの中の世界は嘘なんだよ、と変なファンタジーを教え込まれている)なのだから、いろいろかみ合わない。
それでも母親の必死さに圧されて、幼いカワイイ男の子による初めての冒険。この脱出作戦決行!も面白かったのですが。
これは、まだ前半戦。
大変なのは、長きにわたる異常事態から抜け出した、その後が大変だって話です。
これは私好みのテーマで、「異常事態」の部分に重きをおいて「その後」はあっさりな話(例:浦島太郎)もありますが、「ルーム」は半々な構成です。
外の世界を全く知らなかった五歳児も大変ですが、時間が経つにつれ、7年の青春時代を失った母親の方が精神的に参ってきます。
この母親役のブリー・ラーソンがアカデミーで主演女優賞を取ったのですが。
でも、この作品の肝はジャック役のジェイコブ・トレンブレイくんです。無垢な瞳に戸惑いや歓喜や恐怖や不満や使命感、そして母親への愛が映し出される。正直、原作小説の方が面白いかもしれないと思ったのですが、彼の愛くるしさと見事な表現力を堪能するだけでも一見の価値があったなあ。

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