「さくら」2016/07/13 00:58

まったく偶然ですが、先日母校がちらっと映った映画を見に行った時、ちょうど母校出身の作家による小説を読んでいました。初めて読んだ西加奈子は、出世作の「さくら」。
会話は関西弁。でもモノローグが標準語なのにちょっと引いてしまう。若い男の子の一人称で独特の比喩表現があり、村上春樹を連想する。
プロローグでは息子と父親の物語後思ったら、すぐに長男誕生にまで時間がさかのぼる。仲良し兄弟、仲良し一家の物語になって行く。語りが過去になってから、読みやすくなる。
しかし、登場人物たちに、何故か全然感情移入できない。ワルイ人たちじゃないけど(だからか?)テンションについて行けない。夢中になるほど妹大好きな兄貴とか、ヤンデレ級に兄ちゃん大好きな妹とか、ライトノベルにしかいないものだと思っていました。
そんな中で、犬のさくらちゃんは、癒し。慎ましく可愛らしく、ステキすぎる。
仲良し長谷川一家の歴史と、一家の崩壊と、再生。
おしまいが怒涛の勢いで、押し切られてしまう感じ。超有名曲の歌詞まで出てきたら、愛でいっぱいになるに決まっているのです。