行った年 来た年2011/01/01 23:11

 強風吹き荒れるも、雲が吹っ飛ばされて青空が顔を見せた元日。
 実家に年始に行き、酔っ払い(父)の愚痴を聞き流して。
 今年は、どんな年になるのやら。

 大晦日に一人でソバすすりながら紅白見るのもこれで何度目か。
 松下奈緒は背が高くてホッソリしてますね。
 いきものがかりは結構好きなんです。透明感のある切ない歌声。
 涙、「トイレの神様」。うちの祖母の一周忌は来月。
 毎年紅白見て思うのが、「演歌かっこいいな」。単なる「歌」というだけじゃなくて、バックの演出と相まって、総合的にキマッてる。アラブのプリンスとか、ミュージカルみたい。
 その後のドリカムとスマップが貧相に見えてしまったのが残念。あれなら、嵐がトリの方がよかったんじゃないでしょうか。彼らはやっぱり、今、華がありますね。

「戦国疾風伝・二人の軍師~秀吉に天下を取らせた男たち」2011/01/03 22:15

 今年の「相棒 元日スペシャル」は、ちゃんと面白かった。主役は相棒の二人じゃなくて南果歩でしたが。母親の執念!
 新春は、NHKのニューイヤーオペラコンサートも華やかでいいです。

 ニートはやっぱりヒマなんだなあ、と再認識。例年は見ることのない、長ったらしい新春時代劇、見ちゃうのですから。
 手軽な録画機能のおかげ(疲れたら休憩できる)でもありますが、ちょっと変わった人物にスポットが当っていたのに興味を持って。
 竹中半兵衛と、黒田官兵衛。軍師モノです。
 マイナーだけど、突っ込んでみればなかなかドラマティックな人生。
 山本耕史演じる半兵衛は、なんか浮世離れした感じで、嬉しそうに桜を眺めたり好物の香の物にこだわったり。ひどく欲がない人物像は、下克上で城取りしたかと思ったら元のバカ殿にお城返して若くして隠居しちゃうようなエピソードから。
 高橋克典演じる官兵衛は、もっと熱く天下を語る、野心のある人。戦闘シーンも絵になっていました。それが地下牢に閉じ込められて足を悪くして、人質に出してた息子が助かったことに安堵し、半兵衛の死の知らせに涙した辺りから、落ち着いたキレを見せるようになったと思ったら……最後、やっぱり野心は残ってた。
 本能寺の変のついでみたいに端折られがちな秀吉の岡山攻略が詳しく語られていたのが嬉しい。尼子一族の滅亡や清水宗治の切腹をちゃんと描かれて。
 秀吉の、半兵衛を丁重なもてなす様子(上座に座らせて、拝まんばかり)が、さすが上手いなあ、西田敏行。信長の死を聞いて大いに嘆きながらも「使者を切れ、情報を漏らすな」とちゃんと戦略考えてる秀吉。
 石田光成のお堅い真面目っぷりも端的に表していました。
 官兵衛ゆかりの中津城も出てきました。ああ、この人が主役で大河ドラマでも作ってもらえれば、九州の田舎のあの町も、もうちょっと賑わうかなあ。
 「風林火山」みたいに、マイナーな人をメインに持って来ることも受け入れられつつあるのだから。ぜひ、九州大名も。

「南極料理人」2011/01/04 10:09

 こないだ見た「武士の家計簿」でも堺さん、善良で真面目な仕事人を演じてらしたのですが、こちらは、もすこし、ゆるい感じ。


 ごはん食べに、南極まで来たんじゃないから。
 舞台は南極、小さな基地。そこの料理人は、不自由な環境下にいながらも味付けから盛り付けまで、実に見事な仕事ぶり。しかし、食卓に並ぶ美味そうな料理を前に、基地スタッフの面々はさほど関心を寄せず、なんだかガッカリ……
 料理人が主人公ですが、料理漫画のように料理の美味しさを追及するわけではなく、「かもめ食堂」のように美味い料理の周囲に人の和が出来る、というのとも違う。
 逆なのです。
 各々の心情というかテンションによって、食事は美味くも味気なくもなるって感じでしょうか。

 究極の単身赴任と銘打ち、昼も夜もあるようなないような世界で、誰もが(一部を除き)帰国の日を待ちわび、日本の妻子を恋しがり、遠距離恋愛の果てに彼女に振られ……
 まあ、どんな環境であれ人間が生きている限り喜怒哀楽が生じるもので、そこに料理が添えられる……添え物にしては、料理を美味そうに撮りすぎかもしれません。
 なんかテーマが伝わりにくい映画でした。大きな事件が起こるでもなく、地味なんですね。みんなその道のプロフェッショナルたちのはずなのですが、仕事しているより遊んでいる場面の方が多い。冒頭からマージャン、体操ビデオのレオタードお姉さんにニヤケるおじさんたち、漫画読んで、私設バーでカクテルを作り、ピンポンしたりボーリングしたり野球したり。いくら好きだからって、オーロラ観測そっちのけでラーメン食べてるし。
 一番緊張感を殺ぐのが、やたら出てくるパン一姿(それがエンディングにまで繋がるのですが)。そんな薄着で南極、凍死しないものなんでしょうか。

「最後の忠臣蔵」2011/01/05 23:36

 佐藤浩市目当てで観に行ったのですが、完全に役所広司の引き立て役でした。
 先日TVで軍師やってた山本耕史が、こちらは町人髷ででてきました。時代劇出演も多いですが、なんかいつも爽やかな若者役で、土方さんやってた頃が懐かしいなあ。
 話の大筋は至ってシンプルで、役所演じる瀬尾孫左衛門が、吉良邸討ち入り前夜に逃亡したのは実は大石内蔵助の隠し子を護るためであって、素敵な京都弁の武家の娘に成長したお嬢さんを、商家に嫁がせて役目を終える話。
 お家お取りつぶしから十八年にもなるのにしっかり残ってる浅野家家臣ネットワークがスゴイというか、内蔵助の人気の高さが伺える輿入れでした。
 ずっと彼らを助けてきたゆうさんが、ひとり取り残されてカワイソウでしたね。
 エンディングで、孫左とお嬢さんが二人で暮らしてきた(じいやと姫って感じでした)侘しい住まいが静かに映し出されるのですが、これが実に簡素で物寂しくて、しかしどこかしら、温か味ときっぱりとした清潔感が漂っていました。二人の積み重ねてきた、言葉にならない何か。
 演出で特徴的だったのが、度々挿入される文楽人形。カッコいいですね、ああいうのも観に行ってみたい。なんで曽根崎心中なのか、と思っていましたが、ラストシーンで納得がいったような、いかないような。
 武士としてお役目に殉じた結果なのですが、そのお役目のために断ち切った愛情に殉じた、とも見える、清冽なさいご。

「チェンジリング」2011/01/06 00:13

 今年の相棒元日スペシャルは母親の執念の描かれ方が秀逸でしたが、しかし、ラストがなあ。
 自分の息子との思い出の場所を爆弾でフッ飛ばしたいと思う母親が、いるでしょうか?
 ここが、コジツケくさくって残念でした。



 これも、母親の嘆きと執念が出てました。一昨年の春見た映画。

 映画の冒頭で、「真実の話」と。
 大きな異常事態は、二つ。
 一つは、子供ばかりを誘拐して殺しまくる殺人鬼。
 一つは、誘拐された子供が戻ってきた、と言って別の子供を母親に押し付けようとする警察。母親が抗議すると、医者とグルになって精神病院に入れてしまい、当局のミスを無かったことにしようとする。
 母親はひどい目に合いながらも精神病院から出られたのですが、そのきっかけが「行方不明の息子が殺人鬼に殺害された疑いが浮上したから」では、救われません。
 ところが、その殺人気の元から逃げたという子供が現れて……
 この子供が、泣かせるのです。逃げたはいいが、殺人鬼への恐怖から、何年も真実を話せずに隠れていた。殺人鬼が捕まってしまったら、ますます話せなくなる。自分がすぐに殺人鬼のことを訴えなかったばかりに、その後も殺人が続いたから。
 この子の場合は、最初は恐怖のために。続いて罪悪感のために。
 人間の社会や行動はメビウスの輪のように捩れて、まっすぐ歩こうとしていても、奇妙に不条理な罠の中に踏み込んでしまう。
 ある意味人間らしいのですが、しかし、不条理の輪を断ち切るための刃を持たねばなりません。他者と戦うため。あるいは己と戦うため。
 子供は、母親に会いたい気持ちが恐怖や罪悪感を上回り、名乗り出た。
 母親は、非道な警察を訴え、処刑前の殺人鬼に会いに行き、そして。
 生死も分からぬ息子を生涯、捜し続ける…

「淀どの日記」2011/01/08 11:54

 今年の大河ドラマに合わせて、読み返してみました。図書館で借りた本で、昭和36年刊の、漢字とか古い形使っているやつです。
 何度も読み返した話ですが、やっぱり井上靖は面白いなあ、と思う。

 タイトルは「淀どの」となっていますが、本文中はずっと「茶々」と表記されていて、彼女の目を通した戦国時代を描かれています
 大河ドラマ記念で、ヒロインの小督について拾い上げてみると、
「だって仕方ないんですもの。心配したってしなくたって同じだわ。わたしたち、なにもできないんですもの」
 なんて、茶々が小憎らしく思うほど開き直ったことを言うですが、これは子供のころの話で、色々あるうちに彼女の印象は変わってきます。「あのお城で死んでいた方がどんなによかったかと思います」
 色々ってのは要するに結婚運の無さで、一番目のダンナは(無理矢理)離縁、二番目は病没、で、三番目が徳川の嫡男で17歳の少年……政略結婚な人生です。それにしても大河ドラマ、朝ドラで「おとうちゃん」やってウケた俳優を再びヒロインの亭主役にもってきて、芸の無い配役ですね。
 普通に脚本書けば、大河史上稀に見る鬱なヒロイン(三代将軍産んだあたりからは上り調子でしょうが)になりそうなんですが、「バツニなんてへっちゃらよ、政略結婚もお姉さんを滅ぼしちゃうのもこの時代ならトーゼンよ」と開き直らせるのでしょうか。彼女をいい子に見せるために無茶な脚本書かれたらヤだなあ。
 茶々の方はどう描かれているかというと、これが家柄を鼻に掛けてプライド高くて嫉妬深くて陰険で思い込み激しくて親バカで、女の嫌なとこ全開なキツイ性分です。
 ほとんどデレない人で他人に対してもあんまり好意的ではないのですが、気になる武将として京極高次(敵に回りますけどね)、頼りになりそうな人として蒲生氏郷(早死にしましたけどね)が出てきます。あと、前田利家の室(おまつさんですね)は好印象だったらしく、徳川の人質になることを同情していました。
 豊臣秀頼については全力で親バカ、息子が秀吉以上に立派な武将に見えています。なんとかして秀頼を勝たそう、生かそうとジタバタするのですが、息子の方は「もう俺はとっくに覚悟できてるんやからお母ちゃん黙っといてや」てな感じがぷんぷんして、言葉遣いは丁寧ながら母親を鬱陶しがっている様子が「息子」っぽい。
 井上靖は敗者に同情的なので、「みなの者、秀頼に生命をくれよ。今こそ城を出て、真田らが弔合戦をしよう」なんて格好よいことを言わせているのですが、ご存知の通り、結局城を出ないのですよ。最後に華々しくひと暴れすることを望んでいたのに、それすらできなかった……
 合戦は嫌いではない。「でも、合戦で敗けるのは嫌いでございます」という強気なお姫様が、秀吉の子を生んで一時の栄光をつかみながら、
「落城は度々経験いたしておりますから御心配には及びません」
 そんな、波乱の人生。

「小さな恋のメロディ」2011/01/09 23:44

 今朝の「題名のない音楽会」がウルトラマン特集で、バルタン星人や、オーケストラの指揮を振るウルトラマンとか、とってもプリティでした。
 特撮音楽で特撮ショー。


 40年も前のイギリス映画で、映画より曲の方が印象的でした。
 ふんだんに流れる曲以外で印象的なのが、イギリスの小学生たちがやたら元気に走りまくっていること。
 子供たちはお世辞にもお行儀が良いとは言えず、父親の読む新聞に火をつけたり宿題忘れてブたれたり爆弾を作る実験したり。休み時間にボクシングしてるのがイギリスっぽいです。
 型にはまらない自由な姿ってことなのでしょう。
 そんな中で、主人公のダニエル君は女子のダンスの授業を覗いていて、お姫様カットのかわいいメロディちゃんに心を奪われて、少しずつ近付いていきます。後をついていったり、チェロと笛で一緒にセッションしたり、一緒にダンスして、仲良しの友達(いい子なのに)だって置き去りにして彼女とデートに行ってしまうくらい。
 しかし、授業をサボって遊園地とビーチに遊びに行ってしまい、当然叱られてしまいます。
 ところが、彼らは大真面目に言うのです。ずっと一緒にいたい、結婚したい、と。まだ早い、と大人たちに言われても、そんなの関係なし。
 今度は、クラスの子供全員が教室からいなくなってしまって……
 70年代英国の、若々しさ。

「サウンド・オブ・ミュージック」2011/01/10 23:41

 小学校で英語教育始まるそうですが、この辺から親しんでいけばいいんじゃないかと思う。音楽の時間も使って、一年かけて英語で歌っていけば、最終的に英語劇でしめくくれるんじゃないでしょうか。

 歌って、踊って、実に楽しげなミュージカル映画。30年代オーストリアという重苦しい時代背景を背負っていながら、晴れやかで楽しい。
 ストーリーは説明不要な超有名作品ですが、TVで池上さん(映画解説までやるのですね)が言うには、史実では列車で国外逃亡するところを、映画では徒歩で山脈を越えて、山=困難を乗り越える演出にしたそうです。
 このラストの山々を初めとして、湖とか町並みとかトラップ大佐の豪華なお屋敷とか、映像的にも素晴らしく美しい。マリアと大佐のダンスシーンの優美なこと。デジタル処理の恩恵なんでしょうね、昔見たときは、夜間のシーンなんか暗すぎて何が映ってるのかよく見えなかったんですが。
 45年も前に、こんなにも素晴らしい映画が作られている。

 いまどきの子ども達が観ても、感動できるんじゃないでしょうか。

「アマルフィ 女神の報酬」2011/01/11 23:57

 これも、映像で異国情緒を楽しむために視聴した、TV放送されていた劇場作品。日本映画だけど舞台はイタリア。一度行ってみたい国です。
 同じ主人公のシリーズものとしてTVドラマにもなるそうですが、そちらはどうしようか。柴咲コウが出てるなら見てみようかなあ。
 ストーリーは、なんかイマイチで。話の筋自体は、細かいトコ凝っていて悪くないと思ったのですが。
 誘拐事件が起きて、主人公である外交官がそれに絡んでいって……なのですが、真犯人が誰なのかも、真の目的が大体何なのかも、かなり早い段階で察せられて。
 登場人物のキャラクターを掘り下げるための演出・エピソードにも不足していて感情移入しづらいし。
 そんなわけで、盛り上がるべきところでさっぱり高揚感が得られないんですよね。もったいないなあ。

「容疑者Xの献身」2011/01/12 23:12

 原作未読、TVドラマ版のガリレオシリーズも観ていなかったのですが、劇場作品をTV放送していたので見てみました。
 福山雅治カッコいいー。坂本竜馬はキッタナイカッコしていてもなお男前で感心しましたが、ガリレオは普通にしゅっとした身なりをしているのでホントに格好いいですね。
 これだけ福山ステキと言いながら、でも猛烈に上手かったのは天才数学者を演じた堤真一です。数学の問題解く時、事件を察知した時、母娘を見る時、友人であるガリレオと向かう時。その時々での表情の微妙な感じ、そしてラストに溢れ出した感情、秀逸でした。
 柴咲コウ、松雪泰子の女優陣もそれぞれの持ち味出てて。
 事件のトリック(さすが、ヒントも伏線もきっちりしてます)も話の展開(正に献身)もなんとなく読めましたが、最後までちゃんと面白かったです。
心に染み入るエンディング曲、何度も巻き戻して余韻を味わっていました。