「ローマ帽子の秘密」2016/04/24 16:09

国名シリーズは中高生の頃いくつか読んだけど、これは未読だったかな。
アメリカの作家、エラリイ・クインのデビュー作。作者と同名同年齢の推理作家が主人公で、「読者への挑戦状」がつく。
ところが。
これでどうやって犯人の名を当てられるのか、さっぱりわからない。どこか読み飛ばしたのだろうか。
なんかそれっぽいことを語っていたけど、どういう経緯で犯行を行ったかは、犯人の自供で初めて分かる。犯行動機にしたって被害者が手広く恐喝をやっていたのでその被害者が犯人なのですが、ナニをネタに脅されていたのかも後になって分かるし。
全体的にながながくどくどしていて、丁寧に説明しているようでいて、肝心な情報を隠している手法だなあ。
ミステリ部分以外で興味深かった点は、エラリイのお父さんクイン警視が、異様に息子大好きなところ。お前がいないと寂しいよ、って感じで。全然切れ者警察官っぽくないよ。それから、「証拠がなければ作り出せばいい」って、それ、悪徳警官のセリフだ!
1929年刊行。黒人に対する当然のような差別発言が出てくるのですね。アメリカの階級社会の片鱗を見た。