「星と祭」2019/02/20 23:11

聖地巡礼って言い方はなんだか大仰で気恥ずかしい。でも、お目当てが十一面観音巡りならば、あんまり違和感ないかな。
私の寺社参りや仏像ウォッチングの、最初期。
分かり易く言ってしまうと、子を失った父親の「鎮魂と再生」の物語。
わりと良くあるテーマですが、井上靖のロマンチシズム要素大集合な感じ。死者との対話、雄大なヒマラヤ、月光に照らされる風景、死と隣り合わせの生、素朴な祈り、困難に遭いながらも受け継がれ守られてきた物、永劫、運命。大きなモノに心打たれ、それに比較して小さなモノに愛を感じる。……大自然とか歴史ロマンとかに向き合うと、己のちっぽけさに謙虚にもなるもんです。
その昔、琵琶湖北岸は仏教信仰盛んであったのが、幾多の戦火(織田氏!賤ヶ岳!)によって衰退する。それでも、十一面観音像が土地の人々に大切に守られてきたのは、その地が雪深い自然と惨い戦、厳しい運命と密であったことと関係あるのかもしれない。仏像には顔や手がたくさんある異形が多いけど、「困ったときの神頼み」と言うように、数の多さは「困った」の多さなのだ。
救われたい人のため、祈りがある。