自分内アカデミー20222023/03/18 18:28

遅まきながら、自分内で昨年観た作品を振り返り、邦画1位はというと、
「川っぺりムコリッタ」
……我ながら、非常に地味なのが浮かんできた。でもあのユルさが好き。
2,3位は娯楽作品で「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」「キングダム 遥かなる大地」かなあ。時点が「あちらにいる鬼」。
「PLAN 75」「ケイコ 目を澄ませて」も良かった。ただ、自分が観たタイミングが今年に入ってから(正月休みに見逃してたの見に行くから)で、昨年を思い返して、の中にはちょっと入れにくい。
洋画鑑賞本数は少ないけど、「トップガン マーヴェリック」の戦闘機アクション、「ザリガニの鳴くところ」のテーマ性、「RRR」の少年漫画的肉弾戦、それぞれ格好良くて面白かった。
今年も早くも三月ですが、どれだけの楽しい作品と出会えるでしょうか。

「小暮写真館」2023/03/18 18:30

講談社100周年記念書き下ろし、とたいそうな名札がつき(自分が呼んだのは2013年の文庫版)、ボリュームはあるのですが、宮部みゆきにしては結構ライトな印象。社会の闇を鋭く突くとか、巨悪に立ち向かうとか、身の毛もよだつ怪異とか、ではありません。主人公の高校生男子の半一人称的な語りも、軽妙で。
幽霊が出る写真館に、心霊写真、というのも、ほんの小道具というか、背景にすぎない。
全四話形式の作中で描かれるのは、古い写真館に移り住んだ主人公の生活と、ごく普通の人々の、普通の生活の中で生じる、個人的な苦しみ。
戦争のこととか、夫の実家になじめないとか、恋人に対して顔向けできなくなったとか、幼い子供を病死させてしまった一家とか。
抱えた苦しみを打ち明けることで、厄落とし、みたいな感じになるのは、筆者の三島屋百物語シリーズに通じる気がします。主人公のエイイチ君は怪異の謎を追う形で、聞き役を務めるのですが、終盤に言いたいことをぶちまけます。
人には、言えないことがある。にもかかわらず、語りたい。誰かに聞いてもらいたい。あるいは、何らかの形で意思表示したい、気づいてもらいたい。
それが、次への後押しになる。