「この世の喜びを」2023/07/15 23:31

著者・井戸側射子氏、元は詩人で国語教師という経歴に、納得です。文体は二人称!単語は平易だけど独特な言い回し、現在進行形と過去回想が同階層に入り交じる表現。
読みにくい、自分、苦手なタイプの文章です。主人公が女子高生と接触するまで、ショッピングセンターの描写が単調に続くのがキツかった。
主人公・穂賀さんが勤める、どこにでもありそうな商業施設内での、多様な人々の邂逅。彼女は、何を見ても感じても、娘の思い出と結びつける。もう社会人になる娘たちを、とても愛しているのだろうな、と思うけど、あんまり仲良しな感じじゃないっていうか、愛情が通じてない感じ。
彼女自身の娘時代の思い出も、ふわふわと浮かび上がる。
違うんだよ、若さは体の中にずっと、降り積もっていってるの、何かが重く重なってくるから、もう見えなくて(後略)
作中の舞台も、出来事も、ヒロインの感情も、起伏が乏しい。お話としては退屈なものですが、穂賀さんが相手に伝えたいモノはその平凡さの中にあり、この世の喜びを感じている。

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