「とある飛空士への追憶」2014/02/05 10:42

 最近の戦闘機ブームに乗じて。
白い表紙の目のドアップがちょっと気持ち悪いのですが、もともとはラノベの文庫本だったもの。劇場アニメになったり、同じ世界観のシリーズがTVアニメになったりしているのですがそっちは観たことありません。
皇子の許嫁である少女と、彼女を本国へ送り届ける戦闘機乗り。主な登場人物はほぼこの二人だけっていうお話で、道行の過程でイチャイチャとふつうに絆を深めていきます。二人の人間性とか心情とか丁寧に描かれているのですが、あまりによく出来すぎて全然意外性がないのが少々物足りなく思えてしまいました。パターン通りで。
正直、非戦闘員の少女をよってたかって撃ち殺そうとする理不尽な設定に、違和感と嫌悪感がありました。捕虜として捕獲するってのならともかく、あんまり非道な行いはかえって逆効果ではないか、それって大がかりな部隊を編制するほど戦局を左右する要素なのか?
飛行機に対する愛情がひしひしと伝わってくる作品でもあります。しかし残念ながら、力の入った空戦描写が、あんまりピンとこない。たった一機の飛行機で、あれだけの数の敵をどうして振り切れるのか。一斉射撃されたら撃ち落とされるやん、と。
主人公飛空士の腕が大変すばらしいということなのですが、上手くイメージできないのは、語られる戦闘機用語が自分にはなじみがないためかもしれません。
敵パイロットとの一騎打ちは緊迫感があったと思います。これもお約束ではありますが、だからこそかえってイメージしやすかったのでしょう。
空や海や戦闘のシーン、映像向けの作品であるのは確かだと思います。