「ジェネラル・ルージュの凱旋」2015/10/01 01:18

表紙にデカデカとヘリの絵がありますが、作中災害報道ヘリは飛んでも医療ヘリは、とびません。
理由:お金が無くて。

チームバチスタ・シリーズとか田口・白鳥シリーズとか言われる、海堂尊著の医療コメディ。映画で堺雅人が主演やっていたヤツです。
シリーズとしては三作目、なのですが、二作目の「ナイチンゲールの沈黙」と時間軸が同じ。この病院、同時進行で二つの事件抱えてるよ……という構成で、だいぶ前に読んでうろ覚えな二作目のおかげで変なデジャヴが!
事件としては別モノなのでかえって、これ単体で読んだら何の意味があるのか分からんシーンたっぷりです。
ストーリーは、「事件は会議室で起こっている」って感じのダラダラ感。
救急医療のシーンとか、現代医療の問題点を真面目に突いている作品でもあるのですが。
基本的には、キャラクター小説っていうか、こういうのを「チューニ」っていうのだろうか。ほとんどの登場人物に大仰な二つ名がついていて、なんだか芝居がかった喋り方する。普通医療小説に「将軍の近衛兵団」なんて言い回しが出てくるだろうか。医療業界このノリが通常運転だと誤解する人が出てきやしないだろうか。
前半は、変なコッテリ文章に食傷気味みなのですが。
後半になると、一気に読めます。
それまでウダウダ会議やってきたのをグッと盛り上げる仕掛けが上手い。
そして何よりも、厚労省官僚・白鳥のみんなからウザがられる言動によって何か、風穴がブチ開けられる感じ。医療コメディが普通のコメディになる!?面白さが別次元にシフトします。不思議というか、便利なキャラクターです、白鳥。
他のキャラクターは個性的だけどなんか胡散臭くって作り物っぽくて、白鳥はそもそも胡散臭さが個性だから「そういうもんだ」とすんなりと受け入れられるのかなあ。