「背高泡立草」2021/01/30 12:25

私が個人的にぼんやりと抱いている世界観がある。世界は情報でできている。それは大別して自分が認識している情報と、認識していない情報があり、後者の分量が圧倒的に多い。そして両者は不可分である。
古川真人氏の受賞作は、時間と個人の枠を超えてこの両者を同時並列させている感じか。
誰も使っていない納屋の草刈りのために、血縁者たちが島に戻ってくる。草刈りミッションの合間に、一族の過去にまつわる、というか掠めるって感じのエピソードが挟み込まれる構成。
関係性が薄いようでいて、でもなんか濃く感じてしまうのは、つながりがあるのは確かだから。九州の方言も効いている(でも読みにくい)。
幾らでも茂ってくるのに、刈り取らねばならない雑草のように。理由があるようなないような、問答無用の関係性。