「Les Miserables」2013/02/02 00:31

 トム・フーパー監督はミュージカル畑の人ではないのですが、「映画」の作り方は抜群と言えます。「英国王のスピーチ」で登場人物たちのキャラクターと繋がりを上手に描いてくれましたが、今回も、名曲の感動だけに頼らぬ「物語」としてスクリーンに描き出してくれました。
 メッチャ良かったです。
 アン・ハサウェイ、あんなに美人なのに、ベリーショートに髪を切ってしまって、ボロボロになって、震える声で歌う。ミュージカル映画なのでクチパクだとばかり思っていたら、ちゃんと芝居をしながら歌っているということで。ラジオ番組でその歌声が流れてきたのを聴いて、胸を打たれましました。
 その歌声と共に、スクリーンにいっぱいの哀切の表情が映し出される。登場人物のクローズアップが多用されていて、真正面からぶつけてきている感じです。
 アン・ハサウェイの歌声目当てに映画館に行ったわけですが、一番インパクトが強かったのがオープニングの「下を向け」で、一番泣けたのが映画の新作の「Suddenly」でした。
 前者はオープニングの囚人たちのみならず、人々の深い苦しみを訴え続けます。後者は、逃亡者のバルジャンがコゼットと二人で生きていく喜びを噛みしめる歌なのですが、なんせ、名作なんで、その後彼がコゼットとお別れする決意を固めるって、知ってるものですから。
 それから意外だったのが、ラッセル・クロウの「Stars」。ジャベールってしつこくバルジャンを追いかける偏屈のイメージが強かったのですが、実に穏やかな歌いようで。彼の信念の強さを感じました。
 バルジャン、ジャベール、ファンテーヌの主要人物はちゃんとミュージカル畑出身の役者で文句ない歌唱力。エポニーヌの雨に打たれっぷりも良かったです。
 それから、子役二人の、うまいこと。
 観に行って、良かったです。

サントラも買っちゃった2013/02/02 23:31

 映画サントラも、買いました。
 CD買ったのも、何年振りか。
 しばらくは、こればっかり聴いていそうです。
 残念ながら、映画音楽のダイジェスト版で。まともに収録すれば二時間もかかっちゃうので、あちこち省略されているのは覚悟していたのですが。
でも、もうちょっとくらい。
 ラストの「民衆の歌」は、もっと長く聞いていたい、力強い曲なのに、短すぎたなあ。
 それから、「Suddenly」の歌詞カードがついていない。新作なんで、CDリリースに訳が間に合わなかったんでしょうが、日本語訳抜きの原文だけでも・・・・

第59回南海コンサート、河内長野2013/02/04 00:11

 ホントに暖かくて、久しぶりに原付で遠出しようかと思ったくらいですが、結局普通に、南海高野線に乗りました。年々、いちいち道を確認するのが面倒くさくなっています。
 昨年夏の南海コンサートは岸和田まで行きましたが、今回は河内長野のラブリーホール。
 ベートーベンも好きなんですが、「田園」ならば演奏機会は他にもあるでしょう。しかし、「平清盛のテーマ」をオーケストラ生演奏で聴ける機会はもう無いかと思って。
 やっぱり、大河ドラマのテーマ曲は格好良いです。NHKも気合を入れるし、作曲家も年間100回以上もTVに自分の曲と名前が登場すると思うと、気合が入るのでしょうね。コンサートのオープニングの数分で、もう自分大盛り上がりでした。
 指揮者の高関健さんは低いイイ声で、「田園」の五つの楽章をそれぞれ丁寧に解説してくれました。
 しかし、30分間の前半プログラムと、アンコールの武満徹の映画音楽、小品ながら、日本の楽曲の方がノリノリだったような気がしました。
 1時間45分、魂のお洗濯。

「東京家族」2013/02/19 22:48

 田舎から、東京へ出てきた老夫婦。東京暮らしの子供たちは、両親をもてなしたいとは思いつつも、それぞれの仕事の都合もあって、なんか持て余す感じになってしまう。じいさんばあさんも、子供たちの生活に踏み込んで迷惑かけるわけにもいかないんで、なんか遠慮がちっていうか、気まずい東京滞在になっていって・・・・
 すっごい、普通の話。普通にかみ合わず、すれ違う家族。
 山田洋二監督お得意の、笑いと涙のホノボノ人情劇って感じとはちょっと違う映画になっていました。しかしこの普通さを丁寧に撮っていって飽きさせないのは流石だなあ。
 でも、「東京」よりも田舎に移ってからの描写の方が、イキイキして見えるよなあ。ここにきて、人情ものっぽくなって。
 うまくいかないことも、やりきれないこともあるけれど。
 受け入れて、生きていく。

「平家物語」2013/02/24 22:18

第一巻 新星平清盛
第二巻 驕れる平家
第三巻 源平激突
第四巻 義仲対義経
第五巻 壇ノ浦の悲歌
第六巻 源平遥かなり

 初めて読んだ森村誠一が、ミステリではなく、歴史モノ。
 大河ドラマの影響ですが、ドラマで略された部分の補完です。その前に保源物語や平治物語(原文と日本語訳、源氏びいきな金刀比羅本)も読んだのですが、これも部分的でしたから。
 そこで、全六巻に渡って広くエピソードを盛り込んだ森村誠一本を図書館から借りて、昨年の10月後半あたりから読んでいました。
 11月、12月はドラマの展開と前後しながら読んで楽しんでいました。
文章は平易で、説明はちょっとくどい(連載モノなので、何度も同じ解説を繰り返すことになるのですよね)。
権力を欲した人々が、次々と滅びていく物語。