第91回センバツ、決勝、平成最初と最後2019/04/04 00:07

30年前の優勝は、球史に残る劇的サヨナラエラーで手に入れたのでしたが、今回も、別の意味でインパクト大。
東邦高校おめでとうございます。
平成最初と最後の優勝、なんて半ばジョークで言ってたんだけど、しかし東邦の、特に監督さんにとっては(最初の経験があるだけに)大マジな野望で、しかも実現しちゃった。

独壇場。
もちろん、野球はチームプレイ。両チーム無失策の守備が、点差があいたにもかかわらず、引き締まったゲームにしてくれたのですが。
前日完投した石川投手、疲労が残ってないかなあ……なあんて心配はまあったく無用だったのでした。被安打3完封、二塁も踏ませない。もともと内野手だからフィールディングも上手。
打っては、先制2ラン。そして習志野のリリーフエースの、代わって間もないトコロをさらに2ラン。そして終盤のダメ押し犠牲フライに繋がるツーベース。……なんか、今大会打率はあんまりだったんだけど、凡退か長距離砲かってタイプか。
なんなんだろ、この二刀流。昨年のネオ?愛知のねお君ですか?
準優勝の習志野は、何がおかしかったのだろう。先発投手がアクシデントで交代したのが誤算ではあったけど。これまで先制を許してもひっくり返してきた打力が沈黙、走者が出ても送れない、走れないゲッツー取られる。……やっぱり、石川投手が絶好調すぎたってことか。
さて次は、当然狙ってくる。「令和最初の優勝も」
夏のお楽しみ。

桜祭り×22019/04/07 23:44

第43回宇治川桜まつりへ足を運んでみる。昨年は桜開花が異様に早くて完全にタイミングを外していたけれど、今年はお天気も良く見ごろのはず、と。
宇治橋の辺りは特に桜の名所ってわけでもなく、まあ、普通です。川岸には立派な木もあるけれど、島に並ぶ幼木の細い姿に、これから名所にして観光客呼ぼうという宇治市(商工会議所かな)の魂胆が表れています。
個人的には、どこにでもある桜よりも、橘を植えて欲しいです。源氏物語に因んでさ。
お昼に鰻茶漬けをすすり、ちょっと読書したり、伏見地酒試飲コーナーで一杯やったり。陶器市もやっていたけど、覗くと欲しくなってしまうのであえて近寄らず。
翌日曜日は、見ごたえある桜並木、自衛隊宇治駐屯地の桜まつりへ。
満開の桜に、レトロな赤レンガの建物がステキ。自衛隊駐屯地って初めてだったけど、どこもこんなクラシカルな佇まいなのでしょうか。
展示されているヘリや戦車も珍しい。和太鼓演奏(鳳凰太鼓って。宇治では何にでもフェニックスつけたがる)も楽しい。
そして、前々から気になっていた、展望塔へ。明治28年に建てられたかつての給水塔、内部は自衛隊史のパネル展示と、最上階の展望台。晴れた空にはうっすら白い靄がかかっていたけれど、あれが比叡山、あれが男山に、天王山に……分かり易く紹介されていて。

「GREEN BOOK」2019/04/14 22:49

実力だけでは足りない。現実を変えるのに必要なのは、勇気。
この手の映画は、あんまり積極的に観ようとしない。
理不尽な仕打ちに苦しみ、立ち向かう人種差別もの。
生まれも性格も異なる二人が互いを認め合っていくバディもの。
ストーリーが類型的になりがちで、じっさい、あまり意外性とか新たな発見とかは乏しい。
ひねりがあったのは、黒人ピアニストの方が高学歴セレブ(60年代米国では黒人の多くは肉体労働者)で、白人の方が低所得チンピラ風っていう設定。イタリア訛の英語が聞き分けられたら、なお面白く思えるのかしら。
ファレリー監督はもともとコメディーで有名な方らしくって、思ったより説教臭くならないのも良かった。はじめ、なんかエラそうなドン(マハーシャラ・アリ)も、粗雑でいい加減なトニー(ヴィゴ・モーテンセン)もあんまり印象良くなかったのだけど、だんだん「いいとこあるじゃないか」と思えてくる。どちらも実在の人物で、トニーの実子がこの映画の製作者。
そして、私が大いに気に入ったのは、音楽。サントラ買っちゃったくらい(でも、音響設備の違い故か、劇場で聴いた時の方が断然イイ)。大別して三種類、1、劇中で登場人物たちが演奏している曲 2、BGM 3、カーラジオから流れてくる当時の人気曲。
サントラ聴いててハッとなるのは、特に1が奏でられる時。差別も偏見も飛び越える、芸術は偉大。

おうばくプラザ たそがれコンサート2019/04/19 23:07

満月の春のきはだのアンサンブル
京都大学宇治キャンパスの、きはだホールでのたそがれコンサート。第10回記念で京都大学交響楽団のアンサンブル演奏って聞いて、自転車こいで行ってきました。
初めは迫力の金管、チューバの存在感。続いて木管五重奏。休憩をはさんで弦楽でモーツァルトのディベルデイメント。楽しい。アマオケの中でもレベル高いんだなあ。印象的だったのは「ウェスト・サイド物語」J・ゲール編曲の金管五重奏版。物語性のある名曲で、金管の生演奏はやはり迫力だ。
入場無料、休憩中に販売されるカナッペとグラスワインのセット500円の良心的お値段。大学の、地域交流イベントだからねえ。
市長のご挨拶は要らなかったかな。長い。

西陣美術織 動植綵絵2019/04/20 17:40

チラシで見た時は本当の絵のよう、と思ったけど、近くで見ればやはり織物。
生涯学習センターで三日間展示されている、西陣織物の宣伝興行みたいなものなのかな。
伊藤若冲がお寺に寄進した三尊像に、動植物を描いた作品30点。を、西陣織で作ったもの。
本物に非ず実物大に非ずは承知の上。だけど、ちょっと見にくい。掛け軸にしてあるものだから、絵の部分が低くって屈まないと目の高さに来ない。美術展ではないから、展示の仕方がイマイチなのはしかたないか。
でも30点全部見られるのは、楽しい。若冲の視点では、世界の生き物たちはこんな風に活き活きとして美しいのだなあ。
魚群図とか、寿司屋とかに飾っていたらさぞかし格好良いでしょう。
蛸の足に子蛸がしがみついている。

「魍魎の匣」2019/04/30 22:53

初版は、震災やらテロやらで激動の1995年。自分が読んだのは大学に入ってからだったか……。当時は個性的なキャラクターそれぞれに固定のファンがついたりして、異様に目立つ「レンガ本」に大いに人気が出たのだった。
TVでも新聞でも平成振り返り企画満載。自分的にそれやろうとなったら、こんな感じかな。

なーんていうのは後付けで、今年の建国記念日に読んだ乱歩作品から、この作品を連想したから。連休中に夜更かしして読み返すのにもうってつけ。
電車で乗り合わせた男が抱える、異様な美少女との邂逅。やはりこのイメージはインパクトが大きい。京極流に言うならば、「あちら側」の人びとを描いている。
愛情故に「あちら側」に行っちゃうっていうのも共通点。狂おしいまでの、執着。
しかし結末は、乱歩は薄気味悪く、京極夏彦は後味悪く。
こんな、いっぱい人が死んでみんなが不幸で得るものほとんどないダラダラ長いお話をみんな嬉々として読んでいたのだなあ。
京極堂博識で理路整然として押しも強くて格好良いなあって思った昔の自分。改めて読むと、ひどく理屈っぽくて長話で人をケムに巻く印象。
物事の複雑さを、複雑なままに(単純化せずに)理解しようとする理性と根気が失われつつあるあるのかと思うと、ちょっと己を省みる。