「反逆」2010/06/19 00:57

 戦国武将ブームって、まだ続いてるんですよね。

 戦国時代モノですが、湧き上がる野心とか高揚感とかは無いです。「下克上」の非情さ、男の嫉妬、面子を潰された男の憤り・・・・
 信長は徹底的に冷酷で、己以外誰一人として信じない。その非情で孤独な人間性は、実の母からも命を狙われたことが端を発すると、遠藤氏はちらりと記しています。
 信長はだれも信用せず利害関係の一点のみで人と相対しますが、彼の周りの人々も、彼に従うのは恐ろしいからであって、しかもチャンスがあれば魔王を潰してやりたいと思っています。

 小説の中で、大勢の登場人物達の「さまざまな苦しみ」が描かれます。
 たとえば、第2部の前半の主人公・明智光秀は、信長を恐れながらも、一方で心酔していて、褒められればめちゃめちゃ喜んで、秀吉が信長に重用されるようになると、嫉妬でグラグラして、まるで恋する乙女のようです。
 そして、自分が信長から捨てられてしまうかも、という不安に駆られたとき、 心の奥底にあった思いが持ち上がってきて・・・・
 人の心も世の動きも乱れに乱れた中で、宗教や茶道が、安らぎの場となります。
 冷たい「利」や不安定な「情」に疲れたとき、人は美しくてまっすぐな「理」を求めるのですね。

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