「爪と目」 ― 2013/12/13 22:23
藤野可織の、芥川賞受賞作。
たいへん、面白かったです。やっぱり関西出身(京都)の年の近い(80年生まれ)の女性作家さんの作品は、読みやすいです。
どこがどう面白いのか説明するのは難しいのですが。
語り手である「わたし」が「あなた」について述べる、二人称の形が上手く機能していて、作品の不気味さが倍増しています。
語り手は三歳児、という形で、実際はそんなわけない(彼女の知りえない過去の事象や心情なども語られている)のですが。
時空も人の心の深層までも見通す千里眼の、三歳児。
大きな痛みも喜びもない空虚な人間像を、さらに冷めた目でみつめる、三歳児。
というイメージの中で物語は進んでいきます。
タイトルから、ラストシーンはこの三歳児の爪が「あなた」の眼球に突き刺さるのではないかとドキドキしてしまったのですが、そんな猟奇的展開にはなりませんでした。
あくまでも幼児のイタズラの範疇(ギリギリ)に収めてしまったからこそ、彼女たちの生まれながらに冷めきった人間性に、リアリティが添えられた感じもしました。
たいへん、面白かったです。やっぱり関西出身(京都)の年の近い(80年生まれ)の女性作家さんの作品は、読みやすいです。
どこがどう面白いのか説明するのは難しいのですが。
語り手である「わたし」が「あなた」について述べる、二人称の形が上手く機能していて、作品の不気味さが倍増しています。
語り手は三歳児、という形で、実際はそんなわけない(彼女の知りえない過去の事象や心情なども語られている)のですが。
時空も人の心の深層までも見通す千里眼の、三歳児。
大きな痛みも喜びもない空虚な人間像を、さらに冷めた目でみつめる、三歳児。
というイメージの中で物語は進んでいきます。
タイトルから、ラストシーンはこの三歳児の爪が「あなた」の眼球に突き刺さるのではないかとドキドキしてしまったのですが、そんな猟奇的展開にはなりませんでした。
あくまでも幼児のイタズラの範疇(ギリギリ)に収めてしまったからこそ、彼女たちの生まれながらに冷めきった人間性に、リアリティが添えられた感じもしました。
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