「あめふらし」2010/09/14 11:46

 長野まゆみの物の怪モノ、再読です。
 コウモリの装丁からして私好みなんですが、なんか、雰囲気がいいんですよ、長野まゆみは。
 何でも屋のウヅマキ商會でバイトを始めた市村。しかし社長の橘河は、魂が見えて、それを捕らえることのできる「あめふらし」だった。常識人のようでけっこう天然な市村は、橘河の下で呪術がらみの仕事に就く事になり、海蛇と結婚したり、死んだ子供を拾ってきたり……アヤカシにやたらとモテる体質なんですが……
 やがて、ウヅマキ商會の橘河たちも気付いてくる。爽やかな一般人のように見える市村とその兄に、ある秘密があることを。
 夢幻と現世が交叉して。
 登場人物たちがみんないい味しているので(特に橘河が格好良い)、続編も書いて欲しいのですが。まあ、この話自体、別に発表された短編小説の続編なのですが。

「葵の帝 明正天皇」2010/09/15 23:23

 有名な和宮は天皇家から将軍家へ嫁いだのですが、昔は逆だったんですね。
  「和子の和は公武和合の和」と、祖父の徳川家康から言われたのが8歳のとき。入内後、和子女御(東福門院)は徳川の血筋を帝位につけることを生涯の使命として執念を燃やすのですが、菊と葵のせめぎ合いの果て、夫の後水尾天皇は(拗ねて)譲位し、和子の長女、女一宮(明正天皇)が即位したのでした。
 女一宮、このときわずか8歳。家康もこんな形で曾孫が葵の帝になることなんて望まなかったでしょうが、和子の産んだ皇子はすぐ死んじゃうし、後水尾天皇は徳川家大嫌いですし。
 作中で何度か触れていますが、武家の血筋の天皇は、あの安徳天皇以来なのだそうです。もしもこの時代に頼朝クラスの人材がいたら、東福門院と明正天皇は、建礼門院や安徳帝のような運命をたどったかもしれません。実際は、ひいおじいちゃんは危険分子に温情かけて伊豆に流すなんてことはせずにきちんと排除してくれていたのですが。それでも、由井正雪の乱が起こったとき、朝廷にいる彼女たちは、思わずにいられません。徳川家が亡んだら、どうなるのだろう?
 後水尾との手習いで、「忍」の一字を書く場面が印象的です。後水尾は「関東ふざけんな!」の思いで力強く書くのですが、女一宮の「忍」は弱弱しい。菊と葵の狭間を流れるか細い谷川に喩えられます。「朕の皇位は呪われておる・・・・・・」
 それでも、彼女は、武家と公家、母と父との融和を己の役割だと考えて心を砕くのですが、21歳のとき、突然父から退位を申し渡されて・・・・
 気鬱に伏せる彼女の癒しとなったのは、ぼろぼろの衣を纏った、一人の僧侶だった!
 武家と貴族の両方のトップの血を引く女一宮が、貧しい身なりの一介の僧侶に救われるのですよ。宗教、信心の力ですね。一方、同じくストレスの多い人生を送った東福門院の癒しが、着道楽だったというのも面白い。女だったら、服買うの楽しいですよね。

 作者の小石房子さんは「女帝」がお好きなようで、古代の推古・斉明・持統の三部作があります。いずれも血みどろの権力闘争の中で激しく悲しく生きた女の物語ですが、今回の明正天皇が一番面白かったです。

「古事記」2010/09/16 17:05

 岩波文庫で、倉野憲司校注。大学時代に授業で使った奴で、鉛筆で当時の書き込みがチラチラあるのですが、今となっては何を意味する書き込みかさっぱりです。
 先週の大阪クラシックでは大変に待ち時間が長かったのですが、待っている間に読むには最適です。エピソードが細切れで前後が繋がっているようなバラバラなような感じなので、ちまちま読むのにいいです。ツッコミどころも満載です。昔の天皇は百何十歳も長生きしてたんですね。
 たった七歳の目弱王が父親の仇である安康天皇の寝込みを襲って殺害したかと思えば、履中天皇は大酒飲んで寝ているうちに大殿に火をつけられて殺されかけたのになんかノンキにお歌を歌いたまふ。
 推古天皇から、時代を遡りながら読んでいきました。けっこう血みどろで、裏切りだまし討ちの多いこと。
 天皇の祖先はもともと九州にあって、畿内へ進出。そしてもともと出雲で勢力を持っていた大国主一族から平和的に(?)権力を譲り受けて、その後も朝鮮に軍をしかけたり、ヤマトタケルとかをあちこちにやって支配下に治めていったんですね。
 面白いけど系図が分かりにくいのと、似たような名前も多くて、どのエピソードがどの時代のものだったんだか、だんだんこんがらがってくるのが難点です。
 うーん、こういうのを読んでいると、昔の勾玉三部作とか、氷室冴子とかを読み返したくなってきます。

「ファウストの悲劇」2010/09/17 21:54

 舞台劇、この間NHKで放送されていたのを録画したやつ。
 原作、クリストファー・マーロウ。演出、蜷川幸雄。主演、野村萬斎。
 拍子木に、三味線。歌舞伎の舞台に見立て、空中を舞う天使と悪魔に。鏡張りの背景に、吹き上げる花火。
 学問を究めたファウスト博士が、もっともっと多くを手に入れようとして悪魔と契約し、24年後に魂をささげる代わりに、悪魔の力で好き勝手やる話なんですが。
 悲劇っていうか、喜劇。ファウストはメフィストフェレスと仲良くタンゴを踊り肩組んで、イタズラの共犯者って感じ。なんというか、のび太がドラえもんの道具を使って悪さをしているのに近い、好き勝手ぶり。そう、最初になんか小難しいことを言っていたファウストですが、ようするに「あんなこといいな、できたらいいな」という主張でもって、黒魔術に手をそめたのです。
 透明になってローマ教皇をからかっている場面はまるっきりコント。王侯貴族の前で魔術を披露して得意満面。
 ジャイアンポジション(?)にいる貴族が仕返ししようとしても、悪魔を味方につけたファウストはへっちゃらなのです。
 メフィスト(勝村正信)はファウストの悪事(っていうか、やっぱりイタズラ?)を叶えるべく頑張っている様子がなんか可愛い。ファウスト・ラブ!な色気が随所に見られます。ルシファーの見せた7つの罪の擬人化もユーモラスで。しかし地獄の住人たちは、ファウストの味方のような顔をして、しかしドラえもんではないのです。
 メフィストは手に振り子を持って現れる。
 時が来るよ。契約の時が。お前の魂は永遠に救われることのない、地獄に落ちるのだ、と。
 目いっぱい好き勝手をしてきた、その代償を支払う時。……、のび太っポイんだよ。

「物語 スペインの歴史」2010/09/19 16:41

 スペインに行こう、という計画が出たために、ちょっとスペイン史をおさらいしようか、と思って図書館から借りてきた、中公新書。例によって、高校時代に使っていた世界史の歴史資料集を手元に置いて読みました。
 副題に「海洋帝国の黄金時代」とあって、けっこう内容には偏りがあります。セルバンテスがけっこう出てくるのは、著者の岩根圀和氏がイスパニア文学の研究者だからなあ。

 第一章が「スペイン・イスラムの誕生」。ローマ帝国が衰退して、土着の人たちが西ゴート王国を作り、そこに、アフリカからイスラム帝国の侵略が始まる。やがて中央アジアでアッバース朝に取って代わられたウマイヤ朝が後期ウマイヤ朝が始まる。八世紀半ば、中国では唐の玄宗皇帝の時代、日本では奈良時代で東大寺が出来たり鑑真がやって来ている頃。ここから、アルハンブラ宮殿とかメスキータとかがスペインの地にどーんと建設されていったのです。
 その後イスラムの王朝も移り変わり、一方で北部にのこったキリスト教の勢力が盛り返してくる。レコンキスタってやつです。イサベル王女とフェルディナンド王子の結婚でカスティリア―アラゴン連合国が成りますますキリスト教国の力が強くなる。ついに1492年(コロンブスが大西洋渡ったのと同じ年ですね)、ナスル朝のグラナダが陥落、イベリア半島からイスラム勢力が一掃されたわけです。
 しかし、王朝がカトリックに変わっても、イスラム教徒自体は普通に国内に住んでいます。第二章が「国土回復運動」なのですが、なんていうか、弾圧です。グラナダ開城の時点では、改宗を強要しないと約束したイサベル達でしたが、だんだんキツクなっていって、ついにはイスラムやユダヤ教徒は国外追放。そして、改宗するのも土地を離れるんも無理、な人たちを炙り出す、異端審問がでてくるのです。
 もう、酷いもんです。拷問の凄まじさ、火刑の様子を見物しに来るキリスト教徒の紳士淑女を見てきたように書かれると、カトリックってなんて非人道的なんだろう、と猛烈に嫌な気持ちになってきますが、第三章の「レパント海戦」や第四章の「捕虜となったセルバンテス」になるとオスマン帝国イスラム人がキリスト教徒に対して残酷なことをしているのですよ。宗教的対立ってよく分からないんで、小中学生の教室で行われるイジメを連想するんですが。相手より絶対的優位に立って虐げる野蛮な快感。それを神の名の下に正当化しやがる。
 レパント海戦は昔塩野七海の著書で読んだことがありますが、あれは主にヴェネツィア視点で書かれているので、神聖同盟のスペイン艦隊が中々戦地に来なかったがためにオスマン軍による略奪虐殺の被害が増えたって感じでしたが、このたびは、遅れてきた王子様、スペイン王フェリペ二世の異母弟、ドン・ファン・デ・アウストリアが主役です。
 24歳の若き司令官のもと、神聖同盟の艦隊がオスマントルコの艦隊を打ち破り、オスマン軍の無敵神話を打ち破ったのです。
 が、別にそれでイスラム勢力が地中海から一掃されたというわけではなく、レパント海戦で生き残ったセルバンテスは、傷を癒してスペインへ帰る途中、イスラムの海賊に捕らえられてしまいます。彼は身代金を支払われるまでの間に逃亡計画を立てては失敗して捕らえられる、を繰り返し、「自分が首謀者だ、罰するなら自分だけを」なんて格好良いことを言って決して協力者たちの名を口にしなかったという。レパントの勇士としての自負ゆえか?
 しかし四度も脱走に失敗してなんで処刑されなかったのか、不可解です。小説家ならいろいろ想像するところですが、著者が言うには「分からない」です。
 第五章が「スペイン無敵艦隊」で、海賊の親玉のエリザベス女王に、カトリックの盟主としてフェリペ二世がイングランド侵攻を計画したのですが、「海戦の歴史においてこれほど不注意な例はなかった」と、ケチョンケチョンです。いい指揮官と天候に恵まれていたら、違う結果になったかもしれないのに。
 終章が「現代のスペイン」と題して、ホンのちょっとだけスペイン近代史。日本がアジアで戦争やっていた頃、スペインでは内乱やっていて、1939年に市民戦争が終ったら次はフランコが独裁権を掌握して。
 フランコの死後、スペインに民主主義と平和が訪れたと思ったら、次はETAによるテロ。バスク地方を独立させようって言って政治家も一般市民もバンバン爆弾で殺しちゃう。21世紀に入っても、続いている。
 ……スペイン、けっこう怖い国かもしんない。

「ブーリン家の姉妹」2010/09/20 16:15

スペインの歴史をおさらいしたつながりで、昔(2008年の秋)に書いた映画の感想引っ張り出してきました。
 欧州の王室はみんな親戚同士。英国王ヘンリー8世のキャサリン王妃が、スペインのイサベル女王とフェルナンド王の娘。


 美しい調べ、美しい景色、仲良く戯れる子供たち。
 タイトルは「ブーリン家の姉妹」ですが、弟もいて、最後には近親相姦の罪に問われて処刑されます。男子を産まなければならないからって、流産したのがバレるとまずいからって、そこまでするか、です。狂気。未遂に終わってくれたのが最後の良心って感じ。
 妹から王を奪い、王妃を追い出して(この離婚のためにヘンリー8世はローマ教会に逆らってイギリス国教会を作ってしまう)、アン・ブーリンは王妃の座を勝ち取った。しかしそれからの彼女の、なんと惨めなこと。  魔女コールを受けて晴れの宴席で表情をこわばらせ、せっかく生んだ赤子が女の子だったために悲しい眼差しを向け、王の信頼も優しさも妹にむけられているとを知って、泣きそうな顔。彼女は野心家ですが、悪女になりきれないんです。
 一方の、妹のメアリー・ブーリンは清純派。アンとは違い、完全に一族の男達の出世の道具として振り回されます。しかし命がけで姉の助命を嘆願し、姉の遺児を抱えて堂々と宮廷を去って行く姿は格好良かったです。
 アンの娘こそが、のちのエリザベス女王。
 歴史物好きです。ステキな衣装、陰影のある映像、姉妹の感情の変化が良かったです。

「この自由な世界で」2010/09/21 22:17

 「自由」とか「権利」とかって、「責任」や「義務」なんかとセットになって初めて正しく成立すると思うんですよね。
 たから、私利私欲のために弱い者を踏み台にすることを「自由」なんて表現しないで欲しいんですが。
 ケン・ローチ監督の、世界に向けた黒い皮肉。It’s A Free World…

 はっきり言って後味の悪い映画でした。映像的には本当に地味なので、活字で読むほうがあっているかもしれません。2007年ベネチア国際映画祭の最優秀脚本賞。
 シングルマザーのアンジーは、セクハラ上司に歯向かって職業紹介所をクビになってしまいます。そこで、彼女は自分で会社を興し、ロンドン在住の移民たちを企業に斡旋するようになるのですが・・・そこで、彼女は搾取される側から、搾取する側になるのです。
 移民達への支払いが滞っても自分達の利益は確保する。もっと立場の弱い不法移民にも手を出すようになる。
 アンジーは、強欲な守銭奴、というだけの人物ではなくて、ちゃんといいところもあるのです。バイクに乗って颯爽と営業に回る姿はカッコいいですし、イラクからの不法移民(難民申請を受け入れてもらえず、故郷に帰ることもできず)一家の窮状を知って助けようとする優しさもあります。特別悪い人では、ないんです。
 しかし、そこにビジネスの問題が絡むと、弱者を踏みつけることをためらわない。
 そんな生き方に安らぎがあるハズもなく。忙しくて息子に構ってあげられずに息子は学校で問題を起こすし、路上でいきなり殴られるし、共同経営者だった友人には愛想を尽かされるし、しまいに息子を拉致されてしまいます。
「自分と息子さえよければ、それでいいのか」
 父親のまっとうな意見が、彼女に届く気配はなく、どんどん泥沼に嵌っていく。
 最後に出てきた二児の母。「よっしゃ、仕事にありつける、しっかり働いて稼がなきゃ」という希望が彼女の表情に満ち溢れていました。その希望は、おそらく、アンジーの「自由」の犠牲となるのでしょう。そういう気がしてならない映画です。
 そして、非常に残念なことに、あの二児の母のような人たちが、この自由な世界には、この日本にも、たくさん・・・

「悪人」2010/09/22 22:44

 映画館へ行ってチラシやら予告編やら見ていると、どれも面白そうでワクワクしてきますね。

 いいタイミング(公開の数日前)で深津絵里はモントリオールで賞もらってきましたね。
 主演の2人も好きなのですが、吉田修一の原作(原作の文庫本も売れているようです)の映画は今年観た「パレード」が面白かったのでこちらも気になっていた作品。
 本気で出会いたくて、メールした……
 ということで、出会い系から始まったふたり。あれですね、地味に真面目に生きてきた人が自分の人生って何?とか考えちゃうと、不意に飛び込んできた変化に過剰に期待してしまうんでうしょうか。異様に暗い目をした、得体のしれない男なのに。
 よろしくない相手だと分かっていても切ることができないくらい、人々は飢えている。「大切な人」に。
 彼は殺人犯でした。殺された女は、「コイツ殺してー」と思われても仕方がない嫌な女(あの最悪ブリに賞をあげたいくらいです)でしたが、それでも親にとっては可愛い娘。父親役の柄本明や、殺人犯の祖母役の樹木さんの演技の方が共感を持てました。それと、チョイ役ですがバスの運転手さんの格好良いこと。彼らの、逃げそうになっても最終的に、現実を受け止めて闘う姿が。
 優位にあるものが他者を虐げ、虐げられた者がさらに立場の弱い者を傷つけ、割を食って損をして身動きできない人間関係を痛々しく描きます。実は、本当に惨めで痛々しいのは優位に立っている(と自分で思っている)方の姿なんですけどね。
 悪人は、誰なんでしょう?誰もが多かれ少なかれ加害者で、被害者で。
 逃亡した2人はやはり何かがねじれていて。大切な人と一緒ならば、全てを傷つけて行き場のない逃亡の日々でも、幸せなのでしょうか?本当に?

「箪笥の中」2010/09/23 16:11

 古い家具って、人を招ぶんだよな。
 長野まゆみの短編連作、再読です。一遍がごく短いのですが、その中に夢と現、子供時代の回想や大家さんの昔話まで物語り世界が飛んで行き、長野まゆみワールドでおなじみの宮沢賢治モチーフや小鳥とか貝とか蝙蝠とか猫とか卵とか原爆とかがギュギュっと入っています。
 ちょっと詰め込まれすぎてどのキーワードがどこからどこへ繋がっているのか読み飛ばしそうになるのですが。
 映像向けなお話です。他は蝶の形なのに一つだけ蝙蝠の金具が付いた抽斗や、瓢箪の中の阿弥陀仏や、海でコハクを取るアメフラシや、降り注ぐ桜の花びらが砕けた窓ガラスの破片に変わるような、印象的な造形や情景。

 主人公は私と同年代の女性で、絵描きを生業としています。五つ年下の弟に手伝ってもらって親戚の家から古い箪笥を譲り受けたのですが、それを運ぶ途中で、彼は言います。箪笥が重くなった、四、五人は乗り込んでいる。
 この弟というのが霊感の強い体質で、死んだ祖父と交流したり、この界ならざるものを招いたり、姉ともども異界(それは道路の迂回路から入ってしまったり、名前の思い出せないバスの停留所だったり)へ踏み込んでしまう。
 登場人物は主人公の五人家族と、弟の嫁さんと生まれたばかりの息子、古家の大家さんと、この世ならざる者たち。子供の頃の海水浴、お彼岸には墓参り、正月飾りを神社で焚きあげ、春に雛人形を飾り、お花見。季節ごとの普通の日常の中で、みんな仲良く交流しています。

「ザ・マジックアワー」2010/09/25 15:16

 妻夫木君の出演映画って、あんまり観てないなあ。
 けっこう好きな役者さんなんですけど、昨年の大河ドラマはいただけなかった。脚本も演出もなんだか説得力がなくって胡散臭くって。
 


 妻夫木の演技力もステキですが、どちらかといえば佐藤浩市目当てだった映画。監督三谷幸喜なんですが… 
 ストーリーは、妻夫木が佐藤演じる売れない役者を騙して、伝説の殺し屋としてギャングのボスに引き合わせるという、これもちょっとウソクサすぎて共感しづらいモノでした。
 ストーリーよりも、芸達者な役者さん達の実力で見せる映画。
 まあ、大河ドラマとちがってこれは、ハナっからコメディだと認識しているのでいくらか違和感薄いですが。
 近年はこういう、多少辻褄合わなくても強引にカンドー的な見せ場を演出しようとするのが流行りなのでしょうか