「錦繍」2010/10/04 00:20

 長っ!
 小説として、ではなく、手紙として。書簡小説というやつですが、どれだけ書くのか。詳細な情景描写、心理描写、相手にとっては言わずもがななはずのことも丁寧に説明、ロマンシチズム全開。相手に伝えるための手紙と言うより、自分自身を吐き出すための述懐、過去に浸りきった長大な独り言。そんな感じのモノが、十年ぶりの再会を果たした女と男の間で行き来していたのですが。
 だんだん、独り言の部分が減って行って、内容も過去のことから徐々に現在に近づいていき、最後は、女は障害をもつ息子のために、男は今側にいる女性のために、未来ヘ向けた姿勢をとる。
 「業」という言い方が出てきますが。
 私は生まれ変わりって信じませんし(生まれ変わったとしてもそれは前とは別物だと思う)、運命は最初から決定されたものではなく無数の選択肢の集合体だと思っています。「業」に引きずられるまま(多分)無理心中に踏み切ってしまう女性も出てきますが、生まれ持ってきた「何か」に大事なもの全部決められてしまうなんてつまらないですからね。
 未来へむけてもがく姿が、人のいとおしさ。

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